« マスクの日 | トップページ | 連日外食 »

戸梶圭太「誘拐の誤差」

戸梶圭太の小説を見ると、なんか日本の現実を突きつけられたような、くらーい気持ちになる。
と同時に、ここまであからさまに現実を描いてくれる作家はいないよ!とちょっと頼もしくもなる。
今回は、車にスケボーをぶつけて傷つけたというだけで殺されてしまった少年視点。
いわば幽霊視点なんだけど、全然暗さがないというか、むしろサバサバしてて読みやすい。
なんだかなあ。
それで、自分を殺した相手がどうなるのか、ずっと観察しているんだけど、その人間像があまりにもリアルというか。
罪悪感まるでなしというのは当然ながら、とにかく未来のことが考えられない。今と10分先ぐらいのことしか考えられないというのがね。
そういうやつ絶対いる!と戦慄した。
他人の携帯を拾うや否や、「ヤクザに脅されて現金が必要なんです。すぐに20万振り込んでください」とか嘘メールを流し、あわよくば現金を手に入れようとしたり。
その結果のことを何も考えない。とりあえず小金が手に入ればそれでよし。
小金が手に入ったら、とりあえず競馬に突っ込む。
そして全額すってしまって、初めて「別のことに使えばよかった」と後悔する。
そんでまた小金を得るために簡単に人を殺す。
めんどくさいからそこらへんに放置しておく。
警察は警察で、一応捜査はしてるけど本気で犯人を捕まえようとしてない。
仕事だからやっているだけという。
まあ現実の警察がそこまでひどいかどうかは知らんが、確かに警察という機構が優秀な人間だけで成り立っているはずがなく。
結局犯人は全然別の人間を捕まえてしまい、その犯人もまたちょっと人間として…なので、やってもいないのに「お前だな」「はい」と何でも頷いてしまう。
あ~ちょっと例の冤罪事件を思い出したよ。
すっかり犠牲者っぽいあの人も、多分捜査のときはこんなだったんじゃないかと思われ。
(何かの本であの事件の尋問の様子が描かれていて、本当にこんな感じだった)
ん~日本って多分こんなレベル。

|

« マスクの日 | トップページ | 連日外食 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« マスクの日 | トップページ | 連日外食 »