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高村薫「太陽を曳く馬」

ちえぞうさんごめん。
ちえぞうさんの言うとおりだったよ…。
まったく訳わからん!
一応ストーリーはあるんだけど、途中は読み飛ばすしかなかった。
敗北。

私にしてはかなり時間をかけて読み込んだつもりなんだが。
本書の三分の二以上が「禅問答」なんだよね。「宗教とはなんぞや」というやりとりが大半を占めている。
しかも、それが会話体のくせして、バガヴァッドギーターがどうたらとか、唯識がこうたらとか、専門用語が多すぎる。
これを理解できる人は、おそらく、全日本人のうちのおよそ十人くらいだと思われ。
高村薫の博識はよくわかりました。
バガヴァッドギーターと同列でエヴァとかザクとかの用語まで出てきちゃうんだから、その懐の深さには驚きます。
まあ個人的に一番の見所は、合田雄一郎がまだ義兄との腐れ縁が続いていたというところだね。
義兄とのやりとりは、相変わらず読んでてドキドキするわ。なんなのこの2人。
元奥さんがいきなりアメリカ同時多発テロの犠牲になっているわけだが、影がうすっ!
そんな衝撃的な死に方してて、それがメインの話になっててもおかしくないのに、なんつーかエピソードの一つとしてしか語られていないという。
それが今回のテーマじゃなかったからなんだろうけど、それにしても高村薫の作品は全体的に女性の影が薄いよなあ。
「晴子情歌」も、女性が主役だったにも関わらず、影が薄いというか、あんまり生身な感じのしない、寓話めいた話だったし。
それに引き換え、男性陣のこの「濃さ」はどうよ?
合田雄一郎は42歳ということで、年齢相応のオッサンになっているかと思いきや、まだまだ若いわ。
仏教の深淵を覗いていろいろ考えこんじゃったりするあたり。
まあ作り笑いがうまくなったり、「ごもっとも」なんて言葉を使えるようになったりと、ちょっと大人になった部分もあったけど。
合田の悲劇は、本来哲学とか思索の道を歩むべきだったインテリが、よりにもよって「刑事」というリアル以外の何者でもない道を歩んでしまったことに起因するんだということに、今回ようやく気が付いた。
すっかり「プチうつ」の雄一郎。毎度毎度、もうすぐ自殺するんじゃないかと心配させられる。
そろそろ吹っ切れてもいいんじゃないかと思うけど、吹っ切れたら雄一郎じゃないんだよね。
実は「新リア王」を読んでいないので、もう一人の主役である福澤彰之の複雑な内面を理解しきれていないのだが、まあ読んでても理解できなかっただろうな。
今回のお話は、要するに小説という体裁を借りて「宗教とは何か」「オウム真理教は宗教だったのか」という理論を展開しているだけだった。
そこが目新しいといえば目新しいんだけど、読んでて苦痛といえば苦痛。
「レディ・ジョーカー」の頃が懐かしい…。(遠い目)
これから高村薫はどこへ向かうのか。

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コメント

だろ~。
先入観なくてもそう思ったはず。

あ、近々本を送ります。
もしくは会えたらその時にでも。
三浦しをんの新刊と猫村さんの4巻と伊坂幸太郎の新刊。
三浦しをんは相変わらずオタクだし、伊坂は期待がメチャメチャ大きかったから、やや期待はずれかな?
猫村さんは最高です。

投稿: ちえぞう | 2009年9月15日 (火) 07時08分

伊坂幸太郎は弟がめちゃ褒めてたけどな。
猫村さんは楽しみ!

投稿: ロザリー  | 2009年9月15日 (火) 22時58分

初めまして!

私も高村薫大好きだったんですけど、
「晴子情歌」の上巻の前半で断念して以来
足が遠のいてました。

でも合田雄一郎が登場するならダメ元で
読んでみようかな・・・

投稿: おみ | 2009年9月16日 (水) 20時21分

おみさん、コメントどうもありがとうございます!
合田は登場しますが、本当に登場するだけといいますか…。なにせ、ほぼ宗教談義なので。
でも私も合田大好きなので、登場する部分は舐めるように読みました(笑)。
小説としては万人にオススメはできませんが、「合田は今どんな感じ?」というのを知ることができるという意味では、読んだ甲斐があったかもです。

投稿: ロザリー  | 2009年9月16日 (水) 22時08分

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