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柄刀一「奇蹟審問官アーサー死蝶天国」

なんとなく、本格ミステリと宗教は相性が悪いような気がしていたのだが、「奇蹟審問官」という、非常にユニークな題材でその融合をはかっているシリーズ。
奇蹟審問官が実在するのかどうかよく知らないが、キリスト教で何か「奇蹟」的なことが起きたとき、それが本当にキリストに由来する奇蹟なのか、それとも単なる偶然の産物(もしくは故意の)なのかを判定する役目。
ただの科学的な事象かもしれないので、審問官には幅広い知識が求められる。
それが「異端」という風にうつらなくもない。
このアーサー・クレメンスという審問官は、非常に冷静かつ博識でありながら、信仰心を失わないという稀有な存在。
まあ個人的には、なぜここまで科学的に説明できてしまうことばっかりなのに、「奇蹟」を信じられるのか不思議でしょうがないのだが。
ともあれ、一応ミステリではあるので、奇蹟だけじゃなくて殺人事件が起こったりする。
それを奇蹟の謎解きとからめて解決してしまうのだった。
今回の話の中では、一番最後のチベット仏教のエピソードが面白かった。
ふとした縁で、アーサーは転生者の判定が行われる場面に居合わせるのだが、ダライ・ラマもこんな風に転生者として見出されたのかと思うと、なかなか興味深い。
ローマ法王がコンクラーヴェで選定されることとの違いが強調されたりもするのだが、確かに「選挙」とかで決めるよりも、よほど公正な気がする。

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