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津原泰水「バレエ・メカニック」

ときたま、話の展開が「???」という時は、初出を見るとわかってくることもある。
この本はまさにソレ。
三部構成になっていて、一部は植物人間状態の娘が見ている夢が現実に入り込み、恐ろしいパニックを街中に引き起こす。
二部は、その父親が、娘の痕跡を探すために、娘の主治医とともにあちこち探しまわる、という話。
そして三部は、それから数十年後、仮想空間と現実との間で生きている若者たちの視点から、その後の世界を描く。
一部が二人称、二部が三人称、三部が一人称と、最初読んだときは意図的にそういう構成にしたのかと思ったが、初出では最初に第一部を雑誌か何かに掲載し、その続編として二部を掲載、そして三部は書き下ろしだった。
なるほどね。
それぞれの章ごとにかなりちぐはぐな印象を受けたのはそれのせいか。
逆に三部全部がちぐはぐなので、かえってそれでバランスが取れている印象もある。
全体的には、まさにSFファンタジー。SFだけでもファンタジーだけでもない、その中間あたり。
だからSF慣れしていない読者には、一部を読むのはかなり辛いのではないかと思った。
その山を越すと、二部はかなり真っ当な展開なので、逆に拍子抜け。
しかし三部はまたガチガチのSFなので、状況設定をいまだに理解できていないのだった。
個人的には二部がよかった。
父親がデマみたいな話に翻弄されながらも、ついに娘の痕跡を発見するところは泣かせる。
でも津原泰水はやっぱり、「赤い竪琴」みたいな現実設定の方が私は好きだ。

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