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伊坂幸太郎「モダンタイムス」

タイミング的には「ゴールデンスランバー」とあまり大差ない時期に発表されたにも関わらず、そちらほどには話題にならなかった。
どうしてかな…と思って読んでみて、その理由がわかった。
うーん。まあ色々な意味ですっきりしない。
ストーリーとしては「魔王」の続編になっている。
「魔王」よりもさらに数十年後の近未来。
今と大差ないように見える日本が舞台。システムエンジニアをしている渡辺は、前任者が失踪したという理由で自分に割り振られた仕事をすることになる。
ところが、その失踪した理由というのは他でもない、その仕事にあったらしく、とある検索をすることでどこからともなく「刺客」が現われ、命を狙われる羽目に。
それでもその謎を追わずにはいられない渡辺は、その事件の裏にかつて学校で起きた大量虐殺事件と安藤商会があるということを知る。
安藤商会の場所を探した渡辺はそこで安藤の妻と会うのだが…。
まあ、この安藤というのは「魔王」で出てきた弟の方なのだね。
名前をすっかり忘れていたので、途中まで全然気付かなかった。
「敵は一人ではなく、全体なのだ」というテーマ性は「魔王」と変わらない。
全体を構成する一人一人はあくまで「歯車」であって、自分の仕事がどんなに罪深いものか、全く無自覚である…というところから「モダンタイムス」というタイトルがついたのだろう。
一応終盤に渡辺が自分の「能力」に目覚めるという展開もあるのだが、「敵」が明確でないだけに、ちょっとカタルシスが物足りない。
あと、拷問シーンとか読んでいてちょっと辛い場面が多かったし、奥さんも活躍するのだが、人格的に非常に問題があるので、あまり感情移入しづらい。
というのもあって、「ゴールデンスランバー」に負けてしまったのではないかと。
ただ、むしろ伊坂幸太郎的にはこっちのテーマの方が重要だったんじゃないかなという気がする。
わかりやすい展開よりも、わかりにくい結末の方が、本当はもっと重要なことが隠れている。
そういうことなんだろう。

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