« 審査 | トップページ | リベンジ »

山本弘「地球移動作戦」

「彗星が地球と衝突する」というSFは、映画も含めて数え切れないほどあるが、これは新しい発想でなかなか面白かった。
肉眼では見えない新種の天体が地球に迫りつつあることを知り、地球の人々はそれを回避する方法を模索しはじめる。
その作戦としてあがったのが、「地球を移動させる」というものだった。
計画者である父の遺志を継ぎ、その作戦を実行することになった魅波だが…。
なんか、小川一水が書きそうなテーマだったので、ちょっと勘違いしていた。
でもキャラがちょっと違いすぎるので気付いた。
小川一水の方がSF的発想はすごいものがあるんだけど、やや登場人物がステレオタイプすぎる傾向があるんだよね。
山本弘はそれに比較するとキャラが立っている。いい意味でも悪い意味でも。
魅波はやや浮つきすぎて感情移入しづらかったのだが、プロローグで登場した艦長とそのAICOM(人工知能を持つパートナー)の絆が良かった。
プロローグだけで泣けた。これだけで話が一編できそう。
本編でも、登場する人間たちよりも、AICOMたちが魅力的だった。
一応人間のような感情はないということになっているんだけど、人間にとっては人間とかわらない存在という、ちょっと複雑な立場で、それゆえに起きる葛藤とかが面白い。
ストーリー的にはそれほど大きなカタルシスはないんだけど、地球に迫り来る天体から「地球を移動させる」ことで回避するという発想は面白かった。
その発想を生かすために、あえて「ピアノドライブ」というエネルギー源を設定しているのも周到だったし。
地球を移動させるというと、ついつい紐をくくりつけて引っ張るのかと思ってしまうがそうではなく、イマイチよくわからなかったのだが、要するに地球のそばまで小惑星を集め、それをヘリコプターのホバリングのようにして動かすことで、作用反作用の法則の力を借りて地球を動かすということらしい。
トンカチが柄の部分からはずれそうにグラグラしているとき、柄の部分を打ち付けると、なぜかトンカチの頭の部分が逆側にぐぐっとはまっていくよね?あれと同じ原理らしいのだが。
それが地球規模でも応用できるものなのかわからんが。
地球を移動させることで付随して起きる天災とか、あえて破滅の道を選ぼうとする人間たちによるテロ行為とか、細かい部分の設定はよくできていたと思う。

|

« 審査 | トップページ | リベンジ »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 審査 | トップページ | リベンジ »