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池澤夏樹「カデナ」

ベトナム戦争中の沖縄を舞台に、「草の根スパイ運動」とも言うべき、ささやかなスパイ活動を描いた異色の作品。
ベトナム戦争、沖縄、ときたらどうしても政治色が濃くなってしまいがちなんだけど、スパイをテーマにしながらあえて政治色を排して、あくまでも人間重視にしたところが面白い。
スパイ活動を担うのは、米軍に勤めるフィリピン出身の女性兵士、そして東南アジアで終戦を迎え、沖縄に戻ってからは料理屋を経営する初老の男、基地内でバンド活動をしている少年。
この三者の視点から交互に、米軍から脱走したいという兵士を救ったり、ベトナム攻撃の計画を知らせる情報を入手したり、という活動が綴られる。
本当にこういうことがあったのかどうかはわからないが、ベ平連とかが本当に脱走を手伝ったのを考えると、これに近いことは行われていたのかもしれない。
最後にはほろ苦い結末もあり、なかなか読ませる構成になっている。
池澤夏樹はやっぱうまいわ。

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