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佐藤多佳子「聖夜」

ちょうど、大学時代の恩師の葬儀の直後に読んだので、シンクロ具合にびっくりしたのだが。
舞台はとある高校のオルガン部。
牧師の息子として育った少年は、家を出て別の男性と再婚した母親に対して複雑な思いを抱いている。
そこへ、オルガン部の文化祭での発表会のチャンスが来るのだが、少年はあえて母親との思い出の曲を選ぶ。
オルガンに対する真摯な思いに嘘はないのだが、次第に選曲が重荷となり、文化祭を衝動的にサボタージュしてしまい…。
小説で音楽を表現するというのはかなり難しいのだが、今回のこれはなかなか成功していると思う。
曲を表現するのが上手というよりも、曲に対する気持ちを丁寧に描くことで、彼がオルガンに向かっている情景が見えてくるという感じ。
恩師の葬儀のときにも、ずっとパイプオルガンの演奏が流れていた。
特に上手とも下手とも思わなかったんだが…。
オルガンって、なんとなく個人の個性が出にくい楽器のような気がしていたし。
でもそんなこともないんだなと、認識を改めた。
この本は、学校と音楽のシリーズ三部作の中の一作らしい。
舞台も1980年代と、やや古め。
でもそれだけに、生徒たちが素直で好感が持てる。

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