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「日本海軍四百時間の証言」

「海軍反省会」を元にしたドキュメンタリーの裏側を、取材班の当事者たちが語るという、ちょっと複雑な構成の本。
ドキュメンタリーの中身自体は、テレビの方で見てもらって、本ではどうやってその取材を行ったか、ということに焦点を絞っている。
ん~でも、ここにも「太平洋戦争」の難しさを感じた。
今の視点から見れば、戦争推進派は悪、戦争忌避派は正義なんだけど、当時としてはまったく逆だったわけで。
現在の価値観から推進派を断罪してしまうのはどうかという疑問もある。
しかし一方で、今こそ推進派が一体何をやらかしてしまったのかを検証しないといけない、という使命もあるわけで。
今回のドキュメンタリーは「反省会」を踏まえていることもあって、かなり「断罪」寄り。
当事者(当時の海軍の上層部)の家族なんかに、事情を取材するいきさつなんかも書かれているけど、やっぱり家族にとっては戦犯なんかではなく、やさしい父親だったり、また軍部での態度とは裏腹に、家では戦争反対の姿勢だったりと、一面的には捉えられないことが多すぎるのだ。
だからこそ、こういう風にニュートラルな立場から取材することも必要なんだろうけども。
しかし、一番罪深いのは、当時の貴重な資料類がすべて処分されているという事実。
このせいで、現在まで不透明になっていることも多いし。
敗戦時に、アメリカに機密を渡したくないばっかりに、すべての記録が失われている。
そのせいで、こうやって個々の記憶に頼るしかなくなったわけで、つまりは客観的な事実というのが見えにくくなっている。
これは大きい反省点だと思う。

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