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東野圭吾「新参者」「パラドックス13」

東野圭吾は、読むとそれなりに面白いんだが、なんか読むまでが腰が重いというのか。
率直に言って、ストーリーは面白くても、文章が物足りないんだよね。
なんでだろう。
ほかの作家は、多かれ少なかれ、文体に作家の個性が表れるものなのに、東野圭吾にはそれがない。
たとえば、どこかの文章をそっくり抜き出して読んでも、東野圭吾が書いたものだとはわかりにくい。
よく言えば癖がないし、悪く言うと面白みがない。
なんでだろう。
直木賞がなかなか取れなかったのは、そこらへんに起因するんじゃないかと思う。

ということで、この間読んだ「新参者」とずっと前に読んだ「パラドックス13」の感想をまとめて。
「新参者」はドラマも見ていなかったので、どんなストーリーか全然知らなかったのだが、なるほど~これはドラマにしやすいわ。
一話完結で、なおかつ全体を通した殺人事件もありという。
人形町という下町を舞台に、その下町人情をいかした小さな事件をちりばめているのはなかなか良かった。
どれもこれも後味がいいし、加賀恭一郎のキャラクターが伝わるエピソードにもなっている。
しかし、唯一の不満は肝心の殺人事件の犯人がわりとありきたりだったということだろうか。
まあ、下町を舞台に密室殺人とか完全犯罪とかあったら、そっちの方が不自然だけど。
せっかくここまで面白いテンポで来ていたのに、そこまで気を持たせたわりには…というところがあったのが残念。

一方「パラドックス13」はというと…。
う~ん…決して面白くないわけじゃないんだけど、なんというか、泥臭いSFだなという感じ。
なんか、よくわからない理屈で起きる“P‐13現象”で、世界が13秒間停止してしまうのだが、その間に何らかの理由で死亡した人々だけが、時空のはざまに取り残されてしまう。
誰もいなくなった東京で、13秒間に死亡した人々が集まり、なんとかサバイバルしていこうとするのだが、地震は起きるわ、異常気象は続くわ、インフルエンザが蔓延するわで、次々と危機に襲われる。
次第に仲間割れが起きて、行動を別にすることになるのだが、それが運命の分かれ目となるのだった…。
みたいな話。
壮大な設定の割には、展開は純粋な「都会でのサバイバル」。
むかーし読んだ漫画をちょっと思い出した。
タイトルは忘れたけど、世界に伝染病が流行して、特異な体質をもった少数の人々だけが、なんとか都会で生き延びようとする話。
まるっきり同じだよね。
まさかここからパクったということはないと思うが。
こっちは「新参者」と違って後味もいまいち。
なんというのかなあ…サバイバルとか何とかが、すべて無意味だったような虚しさが残る。
そこはSF設定上仕方ないんだけど…。
やっぱり、東野圭吾はミステリーが向いてるなと思ったのだった。

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コメント

えーーー!私は大好き。むしろ、あっという間に読んじゃうから、買ってもしばらく置いとくよ。そんな人がいるとはとはとは。

投稿: ちえぞう | 2013年2月15日 (金) 06時50分

あっという間に読めちゃう感じが物足りないのかもね。

投稿: ロザリー | 2013年2月16日 (土) 00時16分

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