« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »

町田康「スピンク合財帳」

プードル日記第二弾。
猫エッセイをずっと読んでいるのだが、今度は犬まで飼い始めとる…。
どこまでも博愛な町田夫婦。

今は、たくさんの猫のほかに、スピンクとキューティーという2匹のスタンダードプードル(でかいやつ)と、シードというミニチュアプードルがいるらしい。
スタンダードプードルは、本当にでかい。
かなりの大型犬なので、写真で見るとびびる。

内容はスピンク視点で日常をつづったもの。
今回はシードを飼うことになった経緯がつづられている。
どこぞの牧場でセラピー犬として飼われていたものの、どうにも迫害されているっぽい空気を感じて、お金を出して引き取ってきたらしい。
う~ん…その精神はすばらしいけど。
他人の家庭なので口出しは無用だけど、キリがないよね…。
これからますます家族が増えていきそうな予感。

ところで、猫エッセイの方は、連載していた「Grazia」がなくなって、どうなるんだろう…?

| | コメント (0)

「証拠改竄」

たまにはお勉強本。
大阪地検特捜部の証拠改竄事件のあらましを追ったノンフィクション。

朝日新聞の記者が、大阪地検の情報源から、FDの証拠改竄の事実を知り、その真実を追いかけて記事にするまでなんだけど。
これが、記者視点でまとめられているんだよね。
朝日新聞の記者がどんな風に追いかけて行ったのか、というのが主眼になっている。
なんで検察官がそういう事件を起こしたのか、というのはあんまり触れられていない。
裁判がまだ決着していないんだっけ?
だから仕方がないのかもしれないけど。

ただ、やっぱり完全な三人称(まあ一応三人称ではあるけど)の方がよかったかな。
ちょっと「記者のお手柄!」みたいな手前味噌感がなきにしもあらずなので。
それにしても、ミステリの世界だと検察官が悪者だった、とかいうのは結構ありがちだが、現実世界でいかにそんなことがありえないのかよくわかった。

| | コメント (0)

あさのあつこ「東雲の途」

弥勒シリーズの第4弾。
暗い過去を持つ遠野屋清之介と、彼に何かと因縁をつけてくる同心の木暮信次郎。
憎み合っているのか惹かれあっているのか、なんとも微妙な二人のシリーズ。

今回は、身元がわからない死体が持っていた瑠璃のことで、遠野屋は自分の過去と対峙させられることになる。
ということで、いわば過去編。
殺し屋としての遠野屋の過去が明らかに…。
その分、信次郎の出番があんまりなかった。
つまらん。

瑠璃に関係する一件も、ちと無理やりすぎるというのか…。
いろいろ大風呂敷を広げたわりに、ありがちな着地点になってしまった感じ。
時代小説の王道にこだわらず、もうちょっとオリジナリティのある展開になるといいんだけども。

それにしても、「バッテリー」といい、いろいろと因縁深い男二人を書かせるとうまいなあ。
こういう関係って、男性作家が描くと「ライバル」とか「友情」とかもっと単純になっちゃうんだけど。
女性作家の方が、こういうのはうまい気がする。

| | コメント (0)

「精選女性随筆集 武田百合子」

武田泰淳を読んだことないのに、奥さんの武田百合子のエッセイを読んだ。
そもそも、「富士日記」は以前から読んでみたいと思っていたのだが、なかなか手に取る機会がなく、あきらめかけていたところ、ちょうどいい具合に抄録されているこの本を発見。
さっそく読んでみた。

うわわ、面白い。
なんというか、作家の妻だけに、武田泰淳の素顔的な面白さもあるのだろうが、そもそもそちらを読んでいない私には、ふつうに面白かった。
日記って、本来は難しいんだよね。
誰に読ませるつもりもない日記は記号的で読んでいてわかりづらいし、読まれることを前提としてしまうと、それはもう創作の域だったり。
自然体な日記でなおかつ面白いというのは、読んだことがない。
「富士日記」は、そもそも世に出すつもりはなかったようだが、夫が読み手であるということが意識されているので、一人よがりになっていない。
なんということもない日常なんだが、不思議と興味を掻き立てられる。
これはちゃんと全部読まないとダメかなあ。

武田泰淳と大岡昇平の交流も面白い。
この二人は仲よかったんだね。
いつも大岡が武田家にお土産を持ってきてくれるので、お返しに回数券を持っていったら、水臭いと思われたのか睨まれた、とか。
時代的には昭和40年代前半なのだが、古き良き時代の日本を感じさせてくれる。

| | コメント (0)

椰月美智子「かっこうの親もずの子ども」

う~ん…この人の新刊で読みたい本があったのだが、それが入手できなかったので、違う本を借りてみたのだが。

シングルマザーの統子は、出版社で働きながら男の子を育てている。
実はその子供は、AID(非配偶者間人工受精)で生まれた子供で、不妊症だった夫とはその子供のことが原因で離婚したという経緯があった。
子どもが愛しくてならない反面、仕事の忙しさから、つい邪険にしてしまうことも増えはじめる。
そんな時、雑誌で自分の息子にそっくりな双子の男の子を見つけてしまい…。

統子をはじめ、いろんな母親が登場してきて、要するにこの本が言いたいことは「どんな親子のあり方が正解とかではない」ってことなんだろうな、と思う。
ただ気になったのは、偶然性とかスピリチュアリティとかに頼りすぎな部分。
双子の男の子との出会いもそうだし、前世の記憶とか、胎内記憶とかがふつうに出てくるし…。
そういうエピソードはない方が、リアリティが感じられたんではないだろうか。

| | コメント (0)

有沢佳映「かさねちゃんにきいてみな」

「ロードムービー」も児童書で再刊されていたけど、最近の児童書は侮れない。
なんというか、大人向けの小説よりも斬新だったり、主題がストレートに伝わってきたりと、下手な小説読むよりも面白かったりする。

で、この本。
これも会社で見かけて「面白そうだな」と思って借りてみたんだけど、期待を裏切らない面白さだった。
舞台は、小学校の登校班。
小学六年生のかさねちゃんを班長に、副班のユッキー、4年生のマユカ、太郎次郎の兄弟、そして問題児のリュウセイ、ほとんどしゃべらないのんたんと、暴れん坊のミツ。
8人の登校風景だけが、ユッキーの視点からひたすらつづられる。
それだけ。
問題児ばかりの登校班なのだが、かさねちゃんはその博識の頭脳とリーダーシップで、みんなを非常にうまくとりまとめている。
ユッキーはかさねちゃんを強烈にリスペクトしながらも、来年自分が班長になってみんなをまとめられるのか、非常に不安に思っている。
そんな時、リュウセイが学校に登校しなくなりはじめ…。

とにかく、かさねちゃんがすげえ。
まあ創作なんだからアレだけど、なんでも知っているし(ホーキングは二人いるとか私も知らないようなことも)、みんなの興味を引き付けるような、シャム双生児の登場する奇天烈な物語を即興で語ってみせたりする。
カリスマなのはある意味当たり前。
でも、この本が面白いのは、視点があくまでもそれを客観的に見ているユッキーだというところ。
そして、登校途中の風景に限定することで、その個性がさほど突出せずに、うまく物語になじんでいる。
うん、よくできた話だわ。

そういえば、私も小学校のときは登校班というものがあったが、だれがいたかすっかり忘れているなあ…。
私も六年生のときは班長だったはずだけど…記憶にない。
唯一覚えているのは、登校班で待ち合わせをしているときに、のりを持ってくるのを忘れたことに気づき、「どうしよう!」と騒いでいたら、一個上の子(名前忘れた)が「洋服にご飯粒とかついてたら、それを練ってのりにすればいい」と言ったこと。
もちろん、そんなののりの代わりにはならないのだが、「のりってごはんでできているんだ!すげえ!」と感心したのを覚えている。
登校班って、日常で他の学年と交流を持つ貴重な機会だったんだなあ。
会社の近くにも小学校があるのだが、そこはバラバラ登校。
正直、小学生が道路の邪魔でしょうがない。
登校班できちんと整列して登校してほしいわ。

| | コメント (0)

冲方丁「にすいです」

「和子の部屋」に続く、作家による対談集第2弾。
今回のホストは冲方丁。
この人はライトノベル出身ということで、イメージしていた作家像とさほど違いはなかった。
ただ、ゲストがいちいち冲方丁の大先輩にあたる大作家たちなので、終始低姿勢で、話が完全に聞き役に回ってしまっていたので、そこがちと物足りなかった。
というか、「和子」みたいにコンセプトのある対談集ではなく、あっちこっちの媒体に掲載された対談を一冊に集めたものなので、ある意味しょうがないんだが。

中でも、伊坂幸太郎とは同年代ということもあって、距離感が近くて面白かった。
「オー!ファーザー」も映画化されるんだね。
私的には「砂漠」をドラマ化してほしいんだけど…。

| | コメント (0)

阿部和重「和子の部屋」

阿倍和重が女性作家たちの人生相談にこたえるという形式の対談集。
実は対談集ってそんなに嫌いではない。

テレビの対談は見てられないが、書籍のかたちになると、きちんと校正ができるせいか、ゲストとホストの会話のバランスがちょうどいいんだよね。
「さ○まのま○ま」とか「○子の部屋」とかみたいに、ひたすらホストがしゃべりまくる、という展開にはならない。
というか、ホストが上手ければゲストの会話を引き出せるし、ホストが下手だと、逆に話が盛り上がらないので、ゲストが自分で話を盛り上げるしかないし、どっちにしてもゲストの語りが多くなるものなのかもしれない。

で、実は対談者の中に川上未映子もいるのだった。
対談した当時は、まだ川上未映子は前の旦那と結婚していたみたいだし、二人の話し方も敬語でかなりかしこまった感じ。
なのだが、その後がわかっているだけに、やけに生々しく感じてしまうのだった…。
子どもがほしいかどうかとかいう話もしていて、「なんなら養子でも」とか言ってた川上未映子が阿部和重とデキ婚するとはなあ…。
人生って不思議だわ。
あえて深読みすると、この対談がきっかけで二人の距離が縮まったんではないかという気がする。
かなり突っ込んだ話もしていたし…。

まあそれはおいといて。
阿部和重は、作風からの偏見か、もっととっつきにくい人かと思っていたんだが、案外常識人で、読んでいて安心感があった。
とにかく、非常にロジカルに作品をつくるらしく、フィーリングで小説を書く女性作家たちに、かなり具体的なアドバイスをしていた。
それが、あんまり的外れな感じじゃなくてよかった。
女性作家たちが、素直にアドバイスに関心しているのは、読んでいてほほえましい。

| | コメント (0)

垣根涼介「狛犬ジョンの軌跡」

動物の擬人化モノが案外好きなので、読んでみたのだが…う~ん…いろんな意味で中途半端。

ドライブの途中で見たこともない種類の大きな黒犬を轢いてしまった太刀川。
あわてて動物病院に連れて行くが、まるで人の言葉が理解できるような不思議な態度をとってみせる。
成り行きでその犬を飼うことになるのだが、実はその犬の正体は…。

もちろん狛犬だよね。
これ、タイトルがすでにネタバレなんだが、それでよかったんだろうか。
連載時には違うタイトルだったのか。
とにかく、最初っからこちらは「狛犬だよね」という目で読んでいるので、なかなかそれに主人公が気づかない展開がイラつく。
そして、終盤になってやっと、なぜ狛犬だったジョンがこうして生身の体になったのか、その理由が明らかにされる。
この正体がバレるところをクライマックスにしたかったのかもしれないが、これも冒頭で示唆されてしまっているし…。
読んでいて何の驚きもない小説だった。

これがもし、タイトル通りに狛犬ジョンがあちこちを放浪していろんな飼い主と出会う、というストーリーならそれもアリだったと思うのだが。
そういうこともなく、ひたすら太刀川とのやりとりのみ。
何がしたかったのかよくわからん…。

| | コメント (0)

« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »