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藤森照信 山口晃「日本建築集中講義」

建築家の藤森照信と、画家の山口晃が、スバラシイ日本建築の数々を見学してまわる、というもの。
この二人のコンビが絶妙。

というか、山口晃が好きなんだよなあ、わたしは。
絵も好きだけど、キャラクターも好きだ。
「すずしろ日記」も読んでみたいんだけど、図書館にはおいていない…。
漫画喫茶にももちろんないし。
本屋で立ち読みするしかないのか…。いや買えばいいのか?

藤森氏の専門は古い日本建築らしいのだが、見学したものの中には近代建築も入っている。
法隆寺とかの有名どころはもちろん、身近にあるけど意外に行ったことがない場所なんかもも含まれていて、機会があったらぜひ観てみたくなった。

というか、全然関係ないが、法隆寺って大丈夫なんだろうか。
火事とか地震とか…。
まだ一回も燃えてないよね?
形あるものはいつか壊れる…とは思いつつ、法隆寺はいわば日本建築の富士山みたいなもんだから、これがなくなったら、精神的なダメージが大きいよな…といつも思う。
そこらへんはしっかりと管理してください。

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スティーブン・キング「アンダー・ザ・ドーム」

お久しぶりのスティーブン・キング。
しっかし、久しぶりに読んで、キングのすごさをあらためて実感。
まさに、キング・オブ・ホラー。

アメリカのとある田舎町に、ある日突然「ドーム」が出現する。
目には見えないのだが、町全体をすっぽりと覆うドームは、どんなミサイルでも壊せず、ほんの少しの空気と水しか透過しない。
閉じ込められた町民たちはパニックになるが、町の影の独裁者であるビッグ・ジム・レニーは、それにつけこむように暗躍しだす。
町中のプロパンガスを麻薬の精製に使うために盗み出し、自分に対立する元米軍大佐のバービーを監禁し、麻薬を作っているという証拠を見つけた人々を殺害する。
人々は次第にビッグ・ジム・レニーの言いなりとなっていくのだが…。

小説内で経過している時間は本当に短いんだけど(せいぜい1~2週間?)、分量はものすごい。
上下二段組の全2冊びっちり。
読み終わるのにまるまる5日かかった。
でも、まったく長いと思わせないのがさすが。
緊張感が途切れることもなく、終盤への話の盛り上がり方もすごい。
そして最後のカタルシス…というよりも、ほとんどハルマゲドンだけど、それがまた想像を絶する。

「町をドームで覆う」という発想自体が、まずすごいよね。
それだけじゃなくて、ドームで覆われたことによって、生態系にどんな影響が起きるのか、そこまで計算しているのがすごい。
空気が循環されないので、段々ドーム内が濁ってきて、月がピンク色に見えるとか。
ただ、まったく何も透過しないというわけではないので、その細かい設定がまた、終盤を盛り上げていくんだけど。

結局、ドーム自体がどうやって作られたかという謎も明らかにはなるのだが、本当に恐ろしいのは、ドームを作り出した存在よりも、そこに密閉されたときの人間の本性なんだな、ということが実感できる。
まあ、キングの結論っていつもわりとそうだよね。
SF的な設定ではあるけど、一番怖いのはふつうの人間だという。

ところどこで、「ショーシャンク刑務所」という言葉が出てきたり、キングマニアにはたまらない仕掛けも満載。
これはアメリカでドラマ化しているらしいのだが、ちょっと見てみたい気もする。

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貴志祐介「悪の教典」

一時話題になった小説。
ようやく図書館に並ぶようになったので、読んでみた。

うん…これはあれだな。
ホラーなんだな。
それ以外の意味を求めようとすると、無理がある。
読者をひたすら怖がらせるための本。
そもそも、貴志祐介はホラー作家だからな。

ハスミンと呼ばれて、生徒たちの絶大な人気を維持している英語教員の蓮実。
しかしその素顔は、感情というものを持たない、人間の皮をかぶった悪魔だった。
家族や恩師たちを次々と殺害したにも関わらず、その証拠をまったく残さなかったために、現在では高校教師として日々を送っている。
悪魔としての素顔は誰にもばれないはずだったが、受け持ちのクラスで次々と問題が起こり、それに対する復讐や後始末をしていくうちに、蓮実は生徒に現場を目撃されるというミスを犯してしまう。
事件を隠すために蓮実が考えた解決策は、「学校にいる生徒全員を殺す」だった…。

この蓮実という主人公が、まったく同情の余地もないんだけど、あまりにもあっけらかんとして罪の意識がないので、その怖さが半減されるというのか、「あ、こういう人間もいるかもな」と思わされてしまう。
でも、いたよね。どこか北欧の方で。
島にいた若者たちをかたっぱしから銃殺していった男が。
あれは「悪の教典」が発売されたあとだと思うけど、なんか共通性を感じずにはいられない…。
小説で殺したのは三十数人だが、あっちは一人で77人を殺害…。
ほんと、現実の方が恐ろしいよ…。

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内田樹「辺境ラジオ」

タイトルが「想像ラジオ」に似ているが、これは単なる偶然でしょう。
ラジオ番組自体は、震災前からやっていたらしい。

内田樹はいつか読まなくちゃな~と思っていたんだが、ラジオ番組を書籍化したこれが、対談っぽくて読みやすそうだったので借りてみた。
この本の一節が心に響いたというのもある。

「結婚というのは周囲からの圧力がないとなかなか実行できない」

という。
なるほどな~。
これ、わかるわ。
ま、わたしが結婚できないのは、周囲の圧力がないせい…ばかりでもないが。

内田樹は、もうちょっと理屈っぽい人かと思っていたが、想像とちがってもっとおおざっぱというか、ゆるい感じの人だった。
窮屈が嫌いなイメージ?
「多様性」を容認できるタイプというのか。
今はこれができる人が少ないよね。特に政治家…。

ラジオの収録場所が関西だったせいか、大阪の話題が多かったんだけど、このころと今とでは、橋下さんはかなり変節してきているので、今だったらどういう意見になるのか興味がある。

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ジェフリー・ディーヴァー「バーニング・ワイヤー」

リンカーン・ライム&アメリア・サックスシリーズ。
いい加減マンネリなような…。

アメリカのとある電力会社が脅迫され、給電所の一つの配線が操作されて、感電死の犠牲者が出る。
捜索にあたるライムとサックス。
しかし、電気は今やありとあらゆるところにあり、金属製の何かに接触していれば、だれもが感電を免れない。
犯人だけでなく「電気」という見えない敵とも戦うことになるのだが…。

う~ん…正直、最後のどんでん返しがちと物足りない…。
犯人の意外性とかどんでん返しが魅力のシリーズなんだけど、やっぱりネタが尽きてきているのかも…。
もちろん、ライムの頭脳のものすごさが披露されるような結末が用意されてはいるんだけど、ちょっとカタルシスが物足りない。
もっと緊張感があってもよかったのになあ。

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萩尾望都「マンガのあなた SFのわたし」

萩尾望都の対談集。
もう一冊、対になる本があるのだが、そちらは未読。

というか、マンガ好きを公言している割に、萩尾望都の作品は「ポーの一族」しか読んだことがないのだった。
なんでだろ。
ちょっと古臭さを感じていたからかなあ。
あと、あの線の太いキャラクターもあんまり好きじゃなかったし。

で、これを読んで初めて知った。
萩尾望都が本名だということを!
うわ~…ふつうにペンネームだと思っていたよ。
すごい名前だな。

で、萩尾望都は本当にほんわかしていていい人だった。
どんな人とでもソフトに話を合わせるので、まったくストレスのない対談。
だから、逆につまらないともいえるけれども。
しかし、萩尾望都にそれほど際立った個性がない分、対談相手の個性が気になる。
特に、手塚治虫と寺山修司。
萩尾望都を質問責めにしていくんだが、その質問がけっこうすごい。
「自分の歯に名前をつけるなら?」とか。
どこからそんな発想が出てくるんだ…。

でも、せめて「11人いる!」ぐらいは読んでおかないとなあ、と反省。

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三國青葉「かおばな憑依帖」

時代小説のつもりで読み始めたのだが…うん、確かにこれはファンタジーノベル賞だわ。
ストーリーがなかなか説明しづらいけども。

時は、徳川吉宗が将軍の時代。
吉宗が誰かに祟られていることを察知した母はその怨霊と対峙するために、自らも怨霊となって戦うことを決意する。
吉宗の忍びの者であった田沼家の長男・龍助(意次)は、通りすがりに助けたもらった美貌の剣士・右京の助けを借りて、吉宗を祟っている相手と対峙することに。
龍助の姉に一目ぼれしてしまった右京は、命を懸けて怨霊退治の旅に出るが、危機に陥ったときに、助けに来てくれたのは、なんと自分の母親の生霊だった…。

書いていても、なんだかとっちらかったあらすじだが。
まあ、怨霊やら生霊やら、出てくるわ出てくるわ。
しまいには、右京の出生の秘密とかも絡んでくるし。
山田風太郎の世界か?
なんというか、あまりにも荒唐無稽で読んでいてかなり脱力する。
ちょっといろいろ欲張って盛り込みすぎな気が。
まあデビュー作だから仕方なしか。
でも、マザコンで母親に頭が上がらない右京と母親のやりとりなどは、かなり面白い。
怨霊となって戦う吉宗の母といい、とにかく、女性強し!の一冊。


 

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トマス・W・ヤング「脱出山脈」「脱出空域」「脱出連峰」

トマス・W・ヤングの脱出シリーズ3部作。
と言っても、まだまだ続きそうな気配…。

いわゆる冒険小説のジャンルなのだが、面白い…というよりも、ずしっとくる。
重量感。
米軍に所属するマイケル・パースンとソフィア・ゴールドの二人が、イスラム諸国を舞台にひたすら敵と戦う…という話。
米軍軍人が主人公なので、イスラム側が悪人になるのはまあ仕方がないとしても、米軍側の犠牲もハンパない。
もう、「え?この人が!?」という登場人物がばんばん死んでいく。
そこらへんのリアリティはものすごい。

とりあえず、読んでいて確実に大丈夫といえるのは、主人公の二人だけで、あとの登場人物はいつどうなってもおかしくないので、読んでいて緊張感がある。
ご都合主義的なハッピーエンドにしないところは、作者の矜持なんだろうか。
そして、この二人がお互いに好意を持ちつつも、まっっったく関係が進展しないところも、ある意味見どころかもしれない。
ここまで男女の関係が変化しない小説を見たことがないよ。
三作目でようやくパースンが手を握って、握られたソフィアがびっくりしていたぐらいだから。
まあ、軍隊だからある程度は仕方ないんだけれども…。

いろんな意味で目が離せないシリーズなのだった。

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最近読んだマンガ その2

落合さより「ぎんぎつね」

アニメ化されたということなので、どんなものかと思って読んでみた。
ほうほう、可愛い話だなあ。

神社の跡取り娘であるまことが、神使であるきつねの「銀太郎」といろんな不思議に遭遇する話。
まことは「神使」が見えるという設定なんだけど、神社の系列によって神使もいろいろ。
きつねはもちろん、さるとか牛とか、あとうさぎとか。
どれもキャラが立っていてなかなかかわゆし。

ストーリーとしては、これ、というものがあるわけではないのだが、キャラの魅力で続けていられるマンガだな。
いま10巻まで出ているのだが、ここにきてようやく、新しいキャラ(おおかみ)が出てきたり、あととある事情からまことのいる神社に同居している少年、神尾悟とちょっといい感じになってきたりと、物語に動きが出てきた。


松井優征「暗殺教室」

これも話題になっているので、どんなものかと読んでみた。
タイトルから、もっと殺伐とした話かと思っていたら、全然そんなことはなかった。
むしろギャグ漫画。

いきなりやってきた謎の生物「殺せんせー」を暗殺するために、とある学校の問題児だけが集められた教室の生徒たちが選ばれる。
なぜこの落ちこぼれの生徒たちが選ばれたのか、大体「殺せんせー」とは何者なのか、わからないまま、生徒たちは「殺せんせー」の指導のもと、すこしずつ成長していく。

暗殺するターゲットが先生でもある、という矛盾をはらんではいるんだけど、そこが悲劇ではなくて、むしろユーモアになっているところが、アイデアだなあと感心する。
所詮「少年ジャンプ」なので、そんなに残酷な展開にするわけがないのだが…。
1年という期限が決められているので、そこでどう決着をつけるのかが重要だな。


あとは「あさひなぐ」「月刊少女野崎くん」「俺物語」なんかは目が離せない。
「重版出来」もいい話。出版業界なら読むべし。
「宇宙兄弟」も追いかけているが、「海月姫」はちょっと停滞中かな。
「8月のライオン」は巻を追うごとに凄みが増しているし、松本大洋の「SUNNY」は大人買いしてしまった。
「繕い断つ人」も好きなんだけど、1・2巻も送ってくれればよかったのに…。

…とまあ、今のところこんな感じかな?

あえて順序はつけませんが、最近ヒマになったせいか、マンガが読みたくて読みたくてしょうがない。
毎週でもマンガ喫茶に通いたいところを、ぐっと我慢しているのだった。

こんな人生でいいのかなあ…。

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最近読んだマンガ その1

今年の前半はめちゃくちゃ忙しくてマンガを読むヒマもなかったのだが、後半にはその反動でめちゃくちゃマンガ喫茶に行きまくっている。
「このマンガがすごい!」も発売されるようだが、ここらでわたしも読んだマンガをまとめてみようかと。

で、一番新しいところから。
奥田亜紀子「ぷらせぼくらぶ」。

ちえぞうさんから譲り受けたのだが…。
うん、面白かったよ。
というか、この人の絵がすごい好きだ。
新人って、大体絵が堅くなりがちなんだけど、個性的でありながら、ほどよく力が抜けていて、本当に絵がうまい人の描き方。
しかし、岡ちゃんはどっかで見たことあるようなキャラだが…。
思い出せん。

ただ、いろんなコメントにあるように「読んでいて泣けた」ということはあんまりなかった。
じわ~と沁みてはきたけど、感情移入して涙が止まらない、というほどのことはなく。
…考えてみると、わたしの中学時代は部活が8割占めていて、それ以外のことがかなりどうでもよかったんだよね。
だから、友達とどーしたこーしたとか、そういう悩みはあんまりなかった。
(いまどきの)スクールカースト的には大して高い位置ではなかったはずだけど、そんなの全然気にしていなかったというか。
まあ、ある意味幸せだったんだな。


雨隠ギド「甘々と稲妻」

これは、唯一今年自力で買った単行本かもしれない。
続き物で買っているマンガはあるけど、新刊でいきなり買ったのはたぶんこれだけ。
本屋で試し読みして、すっごくほしくなって…。

ストーリーは、よくあるグルメ漫画というか。
やもめのお父さんが、4歳の娘のために、自分の教え子である女子高生とともに料理を覚えるという、ただそれだけの話。
料理マンガはえてして凝ったメニューにしがちなんだけど、これはお米を炊くとか、超初心者のところから始めているのが珍しいかもしれない。

しかし、このマンガの一番いいところは、なんといっても子供がかわいい!
すげえ癒される…。
ほどよく年齢相応で、あんまりマセてもいないところがまたいい。
あと、メガネのやもめお父さんもかなり好みだ。
このマンガは継続して買っていく予定。


杉基イクラ 「ナナマルサンバツ」

全然評判を聞かないので、ちょっと気の毒なマンガ。
この人の絵が、完全に貞本義行の亜流なもんで、それで多少点数がさっぴかれているのではないか?という気がする。

テーマはずばり、「高校生クイズ」。
クイズ研究会の面々が、ひたすらクイズで戦っていくという話なんだが、これが意外に奥が深い。
問題の読み上げ方で質問の意図がわかるとか、問題の傾向と対策とか…。
問題そのものの面白さもあるけど、いろんなトリビアがあって楽しめる。

で、主人公の男子がとてもかわいい。
図書館が大好きで、知識は豊富にあるんだけど、いわゆる「クイズの定石」に慣れていないので、四苦八苦する。
素直でできすぎていない感じなので、読んでいて応援したくなるキャラ。
もうちょっとこのマンガは売れてもいいのになあ。

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いとうせいこう「想像ラジオ」

これ、なんで芥川賞受賞しなかったんだろう。
やっぱり「文体の芥川賞、人間の直木賞」だからか?(わたしが勝手に考えた)
文体が特殊じゃないと、芥川賞はとれない。
だから「想像ラジオ」が受賞しなかったのも無理はない。
…と思いたい。

あらすじも今更なので割愛するが。
まずは、東日本大震災の犠牲者の一人による「ラジオ中継」という設定がものすごい。
読んでみると、すっとなじんでしまうので、この設定のすごさがスルーされてしまっているんじゃないかという気がする。
そしてDJだけでなく、視聴者もまた、震災の犠牲者たち。
かろうじて生き残った者たちの中には、彼らの声が聞こえるものもあり、聞こえないものもあり。

私なりの解釈だが、いとうせいこうは、「犠牲者○人」という数の上での犠牲者像ではなくて、一人ひとりにしっかりとフォーカスしたかったんじゃないだろうか。
亡くなった人それぞれに人生があり、家族があり、生活があった。
それをもう一度再確認するために、この小説を書いたんじゃないかと思う。

そこにあったのは、あまりにもありふれた人生。
だがそれがある日突然、断絶されてしまう。
その不条理に対する憤り…ではない。
むしろ「祈り」。
彼らの声を聞き取ることこそが鎮魂であるということ。
死者の語りを勝手に語るという誹りを恐れずに、彼らの声にしっかりと耳を澄まそうという、作者なりの決意の表明なんではないかと。

思い出したのは「東京プリズン」。
これも、ある意味「祈り」がテーマだった。
太平洋戦争と東日本大震災、何かと比較されることの多かったこの二つの出来事が、「祈り」という行為でつながったような、そんな気がした。

やっぱりいとうせいこうはすごいな。
芥川賞は、いらなかったかもしれないな。
大体、新人作家じゃないし。
なんで新人扱いされるのかわからん。
「ワールズエンドガーデン」とか「解体屋外伝」とか、昔の名作がいっぱいあるのに。

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