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スティーブン・キング「アンダー・ザ・ドーム」

お久しぶりのスティーブン・キング。
しっかし、久しぶりに読んで、キングのすごさをあらためて実感。
まさに、キング・オブ・ホラー。

アメリカのとある田舎町に、ある日突然「ドーム」が出現する。
目には見えないのだが、町全体をすっぽりと覆うドームは、どんなミサイルでも壊せず、ほんの少しの空気と水しか透過しない。
閉じ込められた町民たちはパニックになるが、町の影の独裁者であるビッグ・ジム・レニーは、それにつけこむように暗躍しだす。
町中のプロパンガスを麻薬の精製に使うために盗み出し、自分に対立する元米軍大佐のバービーを監禁し、麻薬を作っているという証拠を見つけた人々を殺害する。
人々は次第にビッグ・ジム・レニーの言いなりとなっていくのだが…。

小説内で経過している時間は本当に短いんだけど(せいぜい1~2週間?)、分量はものすごい。
上下二段組の全2冊びっちり。
読み終わるのにまるまる5日かかった。
でも、まったく長いと思わせないのがさすが。
緊張感が途切れることもなく、終盤への話の盛り上がり方もすごい。
そして最後のカタルシス…というよりも、ほとんどハルマゲドンだけど、それがまた想像を絶する。

「町をドームで覆う」という発想自体が、まずすごいよね。
それだけじゃなくて、ドームで覆われたことによって、生態系にどんな影響が起きるのか、そこまで計算しているのがすごい。
空気が循環されないので、段々ドーム内が濁ってきて、月がピンク色に見えるとか。
ただ、まったく何も透過しないというわけではないので、その細かい設定がまた、終盤を盛り上げていくんだけど。

結局、ドーム自体がどうやって作られたかという謎も明らかにはなるのだが、本当に恐ろしいのは、ドームを作り出した存在よりも、そこに密閉されたときの人間の本性なんだな、ということが実感できる。
まあ、キングの結論っていつもわりとそうだよね。
SF的な設定ではあるけど、一番怖いのはふつうの人間だという。

ところどこで、「ショーシャンク刑務所」という言葉が出てきたり、キングマニアにはたまらない仕掛けも満載。
これはアメリカでドラマ化しているらしいのだが、ちょっと見てみたい気もする。

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