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「小さいおうち」

お出かけついでに、母と姉といっしょに見てきた。
まあベルリン映画祭で主演女優賞をとってなければ、観てなかったと思う。

山形の田舎から東京のとあるおうちに女中としてやってきたタキ。
若奥様はキレイで優しくて、ぼっちゃんは懐いてくれていて、申し分のない暮らし。
ところが、ある日旦那様の会社で働く板倉という若者がやってくる。
芸術家肌でちょっと風変わりな板倉に、若奥様はあっという間に惹かれていく。
タキは心配しながらも、二人をそっと見守るのだが、戦局は次第に激しくなり…。

実は原作を先に読んでいたのだが、全体的には原作に忠実なストーリーだった。
ただ、やっぱり演出がいろいろ過剰で、原作の方が感動は上だったと思う。

あとね~、主演女優賞のはずの黒木華の出番が思いのほか少ない。
松たか子の方が時間的には長かった。
だから、正直松たか子がかわいそうな感じ。
でも、演技という観点からみると、やっぱり黒木華がうまいな。
うまいというより、ほかの出演者がわりと「演技!」しているのに対し、黒木華は本当に自然に「女中」になっていた。
だからこそ、もっと出番をあげたかったなあ。

大体、タキちゃん視点の話なんだから、若奥様のエピソードはその視点外で、いらないといえばいらない。
むしろ、タキの感知している範囲内にしておいた方が、あの手紙のもつ意味ももっと大きくなったはずなのだが。

残された絵画の構図も、本当はもっと違っているはずだった。
映画では二人が家の前に立っている構図だったけど、原作ではあの嵐の夜の絵だったはず。
それがまた胸を打つのになあ…。

あと戦争中の生活にもっとクローズアップしてほしかった。
小さいおうちで幸せに暮らしていた家族が、戦争で少しずつ生活を変えざるをえなくなっていく、というのが原作のキモだったんだし。

といろいろ不満も残るのだが。
でも全体的にはなかなかの佳作かな。

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恩田陸「夜の底は柔らかな幻」

う~ん…いつもの恩田陸のパターン。
設定は面白い。
後半まで緊張感を保ってひっぱるテクニックといい、独特の世界観といい、いかにも面白そうなんだけど…。
でも結末がなし崩し…。

在色者と呼ばれる、ある種の超能力を持つ人間がいる世界。
途鎖国と呼ばれる故郷に久しぶりに戻ってきた実邦。
ある使命を帯びた彼女を故郷で出迎えたのは、思いもしない運命だった…。

あーあらすじが説明しづらい。
要するに、超能力大戦みたいな、ある閉鎖された環境で超人たちが戦い殺しあうという、かなり殺伐としたお話し。
これはアニメ化すると面白いかもしれない。
ビジュアル的にはかなりド派手だし。
でも実写だとちょっと陳腐になりそうな、そういう微妙なライン。

で、途中までは「謎の人物」とか「因縁の対決」とか出てきて、どうやって収拾つけるのか楽しみだったんだけど、あれ…?これじゃあ絶対にページ数が足りないよね…?と下巻の後半になって気づく。
で、案の定最後は駆け足で終わってしまった。
思うに、恩田陸にはラストシーンだけは浮かんでいたんだろうね。
あと設定も。
でもそこへとつなげる道筋が、ちょっといい加減になってしまったという気がする。
まあ、いつもこのパターンなんだけど…。
設定は面白いだけに、オチのつけ方にはもう少し配慮してほしいところだわ。

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穂村弘 角田光代「異性」

いわゆるリレーエッセイというのか。
女性と男性、それぞれの立場から恋愛について語り、相手の文章を受けてさらに考察していく、という面白い構成の本。

女性らしさ、男性らしさという点では、ちょっと微妙な人選だが、恋愛に関して男女の考え方がどれだけ隔たっているかというのがよくわかって面白い。
よくある恋愛指南本とかでは、男性作者が女性心理を勝手に考察したり、また女性作者が男性好みの女性はこんな…と語ったりしているが、その手の本よりもこれを読んだ方がずっと勉強になるかもしれない。

一番印象が強かったのは、穂村弘のとあるエピソード。
エレベーターで同乗した女性が変わったスカートをはいていたので、「それは?」と聞いたら「バルーンスカート」という答えだったので、穂村弘が「バルーンスカート」と繰り返した。
が、ついそれを二度言ってしまったために、同乗していた女性につっこまれる、という話。

この時、穂村弘は二度繰り返すことで、そのスカート(ひいては女性の一部)を所有する感覚を味わっていた、というんだよね。
あー…難しいけど、なんとなくわかる。
要するに、男性は相手を所有しようとする傾向がある、ということなんだろうなあ。

ほかにもいろいろ興味深いエピソードはあったんだけど…。
要するに、男性と女性では根本的に物事のとらえ方が違うんだな。

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湊かなえ「往復書簡」

去年、前売り券が600円という価格で投げ売りされていたので、観てしまった。
「北のカナリアたち」を。
この間テレビでももうやっていたけど…。
で、それの原案小説というふれこみのこの本。

…全然ちがう話やんけ!!!

あーびっくりした。
こんなに違う話でいいの?というぐらい違う。
まあ原案だからいいのかもしれないけど…それにしてもなあ。

全部で3編入っていて、原案となったのは「二十年後の宿題」という話。
映画と同じなのは「かつての生徒たちを訪ねる」「旦那が生徒を助けようとしておぼれ死ぬ」。
これだけ。
あとは登場人物から何から、全部違う。
生徒を訪ねるのは先生本人ではなくて、別の学校での教え子だし、おぼれ死ぬのは海じゃなくて川だったし。
そもそも教え子は6人だけの分校ではなくて、ふつうの小学校の一教室の中の6人。
もちろん、殺人を犯した教え子などいない。
小説では小説の「生徒の消息を知りたい」という動機があるのだが…。
もちろん映画とは全然ちがう。

かといって、小説の方がいいかというとそれも微妙。
う~ん…旦那さんが死んだのは確かにショックな出来事だけど、そんなに罪悪感を感じなくてもいい生徒がトラウマを引きずっているというのはムリがあるんじゃないだろうか。

まあ、映画化っていうのは難しいね。
これまで見た映画の中で原作を超えたのは「羊たちの沈黙」だけだな。

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星野源「働く男」

弟が大好きな星野源。
星野源への弟のラブっぷりには、思わずほもせくしゃるを疑ったよ。

「生活はつづく」というエッセイは読んだけど、正直音楽は聞いたことない。
なのになんで読んでみたかというと、弟がなんでそんなに好きなのか気になったのと、あとこの本が出るのとほぼ同時に、星野源が入院したから。

そういう目で見ると、内容にもなんとなく病気とか死とかをほのめかす文章がなくもない。
とにかく、働くのが大好き!体が限界になっても働けて死ねたら本望!みたいな雰囲気が全体に漂っている。
彼を知る人のコメントも掲載されているんだが、「生き急いでいる」という表現があって、ちょっと戦慄した。

確かに、倒れる直前の仕事の多さは、この本を読むとよくわかる。
映画を主演して、そのかたわらに作曲して、そしてライブして…。
全部全部ぜーんぶやっている。
これで元気だったらその方が不思議だよ。

で、今は元気になったんだろうか…?
と気にしていたら、今日完全復帰のニュースが!

よかったねえ。

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