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伊坂幸太郎「オー!ファーザー」

だいぶ前に譲り受けたんだけど、タイトルがなんとなく好きになれなくて、読んでなかった作品。
映画化されると聞いて読んでみた。

恋多き女の母親を持ったせいで、自称・父親を四人も持つことになった由紀夫。
それぞれ個性のまったく違う父親たちに、にぎやかに育てられた由紀夫だったが、ほんのささいな偶然が重なり、町で行われる選挙をめぐる陰謀に巻き込まれることに…。

そうそう、登場人物の名前が文豪を意識していて、そこに何か意図があるのかないのかよくわからない。
鱒二とか…ふつうの名前としてありえんだろ。
まあそれはいいとして、選挙をめぐる陰謀があまりにもややこしすぎて、最後までよくわからなかった。
スーツケースが盗まれたり、友人が運び屋をやらされそうになったり、殺人事件が起きたり…。
で、最後に収束するはずなんだけど、何がどうなってそうなったのか理解できず…。
むむむ。

まあ仕掛けはわからなくても、個性あふれる四人のお父さんたちが魅力的なので、キャラの力で読ませてしまう。
最後にもいつものカタルシスがあるしね。

でも、いつも思うんだが、伊坂幸太郎の作品に出てくる女性ってあんまり魅力的じゃないよね。
小悪魔的というかなんというか…、主人公を振り回すためだけに存在しているような気がする。

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風野真知雄「姫は三十一」

タイトルが身につまされて思わず手に取ってしまった時代小説シリーズ。
主人公はとある大名の姫君なのだが、美人なのになぜか縁遠くて、独身のまま三十一になってしまったという。
どうやら、同じ作者の「妻はくのいち」シリーズのスピンオフらしいのだが、そちらは未読。

静湖というその姫は「嫁き遅れ」という事実を乗り越えて、今ではすっかりお気楽な日々を過ごしている。
趣味は江戸の町に繰り出して、オカマのいるなじみの店で酔いつぶれること。
ところが、そのオカマの占いで、「今年は何百年に一度のモテ期になる」と予言されてしまったからさあ大変。
静湖には、いろんな事件に首を突っ込みたがる悪癖があるのだが、その事件で知り合った男性ことごとくが、静湖に惚れてしまう。
でも、静湖の方はなかなかその気にならなくて…。

う~ん…「嫁き遅れ」でもモテてるんならいいじゃない。
しかし、これは「青い鳥は家にいた」パターン、つまり、いつも護衛でひっついている青年が実は…というパターンかと思ったら、そういう雰囲気でもなく。
今後の展開がちと気になる。

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フローラ・トンプソン「ラークライズ」

イギリス版「大草原の小さな家」という触れ込みに惹かれて読んでみた。
確かに、主人公の女の子がローラという名前だし、いろいろ重なる部分がある。

「ラークライズ」という村の名前も、ローラという名前も実際とは違うのだが、内容的にはほぼ作者の実体験らしい。
イギリスの本当の田舎の村の日常が、細やかにつづられている。
しかし、これが今からほんの100年ほど前の話なんだよな~と思うと、なんだか不思議な気がする。
とにかく、自給自足が基本で、お父さんたちの楽しみは、村に一軒だけあるパブでお酒を飲むことだけ、お母さんたちの楽しみは近所の人たちとのおしゃべり。
どの家も貧しいのだが、みんなそうなので誰も気にしない。
豊かではないけれど、それなりに幸せな生活。
…だが、年を取ったり病気になったりすると、福祉がまだきちんと整備されていないので、かなり悲惨な生活になってしまう。
ここらへんの現実は、「大草原の小さな家」にはなかったなあ。

ローラは弟と仲良しで、二人でいつも遊んでいるのだが、エピローグとして第一次世界大戦の波がこの村にも押し寄せ、弟が戦死してしまったというのは、読んでいて辛いものがあった。
こんな辺鄙な村からも、若者が兵士に駆り出されていたんだなあ。
それは太平洋戦争のときの日本も同じか。

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平山夢明「全身複雑骨折」

「どうかと思うが面白い」というエッセイに続く第2弾。
前作は、最後が全部「どうかと思うがおもしろいもんです」で締められていたのだが、今回は「どうかと思うがゾゾ怖いもんです」で締められているという。
とはいえ内容はほぼおんなじ。
「ゾゾ怖い」というのは「ゾゾタウン」にあやかったらしいが…。
すでに古い。

それにしても、出てくるエピソードがことごとくぶっとんでいて、実話とは思えない。
でもあとがき対談(イラストレーターの清野とおると)では、嘘だったら嘘と書いてある、と言っているので、それ以外は本当らしい。
集まる人のところにはそういうエピソードが集まるものなんだなあ。
そういえば、小野不由美の「残穢」にも平山夢明が登場するのだが、こういうエッセイを見ると、あながちあれもフィクションではない気がする。

ちなみに、清野とおるは、正月に「共感百景」という番組に出ていた。
この人もまた、作風に負けず劣らずネガティブなオーラを醸し出していたなあ。
その番組はなかなか面白かったんだが、ほかに能町みね子(初めて実物を見た!)とか、西加奈子とか、なかなかマニアックな人がそろっていて、いったい誰がキャスティングしたのか激しく気になる。

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オリンピック雑感

オリンピックが終わって一週間になるが、今さらながらに思ったことなど。

なんといっても、今回のオリンピックの話題をさらったのはフィギュアだろう。
羽生くんが金メダルをとったのもニュースだけど、やっぱり浅田真央だよね。
SPで失敗してしまってから(というか、わたしはSP見てないんだけど…とても見る気にはなれない…)、胸がつぶれるような思いをした人は多いはず。
わたしも、特に浅田真央のファンというわけじゃないのに、彼女の心痛を思うと、一日仕事が手につかなかった。

で、思ったのだが、あのフリーの日、あの時に浅田真央を応援している気持ちほど、純粋な応援ってなかったんではないだろうか。
もしもSPを4位とか5位ぐらいで終えていたら、「あと何点でメダルに手が届く!」となって、どうしても邪念が生まれてきたはず。
でも、あの時点で逆立ちしたってメダルはムリだとなったからこそ、結果を度外視して、「とにかく笑顔で終わってほしい!」とみんなが純粋に願えるようになったのでは。

結果的にメダルは手に入らなかったものの、浅田真央の演技が与えた影響というのは決して小さくなかった。
東京でオリンピックを開くことになったわけだが、そのときにあのときのような気持ちで選手を応援できるかどうか、そこにオリンピックの成功がかかっているような気がする。

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