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梓崎優「叫びと祈り」

新人とは思えない安定した文章。
これは、久々に期待できる作家が登場したかも。
一応、主人公が同じ連作集ということになっているんだが、舞台が世界中あちこちにちらばっているので、起きる事件もさまざま。
ミステリなので殺人事件が起きるのだが、その殺人の理由や背景などもさまざまで、かなり事前の調査が必要な話ばかり。
そういう、日常では決してないミステリにあえて挑戦しているのが立派だと思う。
単なる推理ではなく、叙述トリックも取り入れて、かなり凝ったつくり。
私が特にスキだったのは、新人賞を受賞したという砂漠の話。
わりと救いのない話も多いなかで、後味が一番よかったというのもある。
今後が楽しみだわ。

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乃南アサ「いちばん長い夜に」

前科持ちシリーズ2人組シリーズ完結編。
今回は、東日本大震災に遭遇するというエピソード。

子どもと生き別れたままの綾香の立場に疑問を抱いた芭子は、綾香に内緒でこっそり彼女の故郷である宮城へと足を運ぶ。
そこで、子供の足跡をたどろうとするのだが、わかったのは「外国人の養子になったらしい」ということだけだった。
慣れない旅で疲労した芭子を襲ったのは、突然の大地震…東日本大震災だった。

芭子が震災に遭遇するというのは、まあ時節柄おかしくないと思ったのだが、遭遇した場所が場所だけに、描写がやけにリアルだなと思ったら…。
これってまるまる、作者の実体験だったらしい。
びっくり。
今回の本を書くために取材に行って、そこで震災に遭遇してしまい、ホテルのロビーで夜を明かしたあと、タクシーをひたすら乗り継いで東京まで帰ってきたという。
というか、よくタクシーがつかまったなあ。
タクシーが東京まで走ったなあ。
当時の道路状況を考えると、奇跡的だよね。
フィクションだと思って読んでいたときには出来すぎだと思ったけど、実話だったんだなあ。

しかし、震災があったことで、二人の関係性にも変化が生じてしまう。
芭子は旅の途中で知り合った弁護士に、自分の素性を打ち明けてしまうし、綾香は大勢の人が亡くなった震災で、自分が犯した「殺人」という罪が決して許されるものではないと、改めて考えるようになる。
いつまでも二人っきりで生きていけるとは思わなかったけど、綾香さんには幸せになってほしかったので、この結末はちょっとフクザツ。
でも、そういうのも含めて、いろいろと考えさせられるシリーズだった。

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「クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」

姪っ子のお付き合いで見てきた映画。
最近のクレヨンしんちゃんは、なかなか出来がいいという評判なのだが…。

公園に行ったしんちゃんと父ヒロシは、家庭で虐げられて行き場を失った父親たちに遭遇。
しょっぱい気分になっていると、帰り道でナイスバディの美女に無料エステに誘われる。
せっかくだからと施術を受けたヒロシだったが、目覚めるとなんとロボとーちゃんに変わっていた!
みさえたちになかなか父親だと認識してもらえず、悲しい思いをしていたロボとーちゃんだったが、しんちゃんたちの遠足先で危ないところを助けたりと大活躍したおかげで、ようやく父として認められるように。
ところが、ヒロシをロボとーちゃんに変えた張本人の目的は、「ちちゆれ団」を結成し、父親の権威を復活させることだった…。

う~ん…ロボとーちゃんの正体がわかるくだりで、大体先の展開が読めたのだが、それでも最後は父親の愛情に思わず涙。
姪っ子は、「おしりブリブリ~」で大爆笑していた。
さすがに、この年齢になるとそれでは笑えないわ…。
それよりも、微妙な小ネタの方が面白い。
最初のシーンで、「ドリル攻撃!」と言いつつ、「最近のドリルは先端がとがっていないのだ!」とか。
あ~海ほたるでこういう掘削機見た!と思わず笑った。

全体的にはべただし、子供向けっぽいところもあるが、やっぱり子供じゃわかりにくい笑いもあるし、ターゲットとしては「親」なのかなという気がした。
でも、ストーリーはよくできていたし、「アナと雪の女王」よりは全然納得できる展開。
五木ひろしはいらんかったと思うが…。

それにしても予想外に混んでいて、一番前の端の席しかとれず、ずーっと横を見ていたら首が痛くなった…。
やっぱり一番前はキツイ。
こんなにクレヨンしんちゃんって人気があるんだな…。

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「キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー」

アベンジャーズ系では、実はキャプテン・アメリカが一番好きなのだった。
別にアメリカ礼賛!ってわけじゃないんだけど、一番真面目なヒーローだから…。

海賊船をやっつけたり、相変わらず正義に燃えているキャプテン・アメリカ。
彼が所属する「シールド」では、DNA判定で悪人をピンポイントで攻撃できる武器が装備されつつあった。
ところが、フューリー長官が何者かに襲撃されるという事件が起きる。
味方だと思っていたシールドもキャプテン・アメリカを敵扱いしはじめ、彼とブラック・ウィドーは、その陰にいるらしいヒドラという敵を倒すために動き始める。
しかし、そこに敵として現れたのは、キャプテン・アメリカのかつての親友、バッキーだった…。

それにしても、あのムキムキはすごいな。
アベンジャーズの中では、唯一生身の人間なんだよね。
あ、ブラック・ウィドーもだけど。
アイアンマンはロボ武装しているし、マイティ・ソーは神様だし、ハルクは化け物だしね。
なので、一番危なっかしいといえば危なっかしいはずなのだが、なんだろうこの安定感。
「絶対に死ぬわけがない」と思わせる何かがある。
それは長官もだけど。
「この長官がこんなにあっさり死ぬわけがない」と思っていたので、全然ハラハラしなかった。
これはこれで問題か。

いつものことだけど、エンディングの後の映像でまだまだ続編がありそうな気配だった。
せっかく今作でスカーレット・ヨハンソンといい雰囲気になったので、ぜひこのまま突っ走ってもらいたいところだが…。
アベンジャーズって、恋愛関係がイマイチなのよね。

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夏川草介「神様のカルテ」

1と2はかなり以前に読んでいたんだけど、また映画化されると聞いて、3も借りてみたらちょっとびっくり。
前2冊よりも格段に面白くなっている。

1と2は、いかにも医者ものにありがちな、がん患者の最後とか医者としての葛藤とかが焦点だったんだけど、3はちょっと違った。
なんというか、もっと医療の本質と医学の限界みたいなものに迫っていたような気がする。

一止の病院に三十代の女性医師が新しくやってくる。
医学的な知識や技術もすばらしく、医学論文を書きつつ診療にも熱心な理想的な医者と思われたのだが、なぜかアル中の患者だけを放置する傾向があった。
一止はそれに気づくのだが、そこには彼女の過去が関係していた…。

これまで、一止はとにかく患者の診療を第一義に考えていて、もちろん救急病院としてはそれを最優先せざるをえないんだけど、医師としては診療を差し置いても新しい医学をどんどん取り入れていかなければ、結局は患者のためにはなっていないという矛盾。
このままでは成長できないと気づいた一止は一つの決断をするんだけど。

しかし、これ奥さんがいる意味あるのかね。
こんなになんでも理解してくれちゃう理想的な奥さん、かえっていない方がいいんじゃない?
だって、一止がなにやっても全肯定だもん。
そこに何の葛藤もない。
これで子どもができたりとかしたら、また新たな展開があるんだろうけど。
それはそれで安易な展開になりそうでなあ。
難しいところだわ。

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