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伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」

統一された主題があるのかないのか、いまいちよくわからなかった短編集。
でもなかなかエッジが効いていて、面白い作品もあり、ちょっと「?」な作品もあり。

個人的に一番面白いなと思ったのは、「月曜日から逃げろ」かな。
思いっきりネタばれしてしまうと、ストーリー的には曜日の順に話が進んでいるように思えるんだけど、じつは時間をさかのぼっている話だった、というオチ。
なるほど、月曜日の次の日が火曜日だと思ってしまいがちだけど、前の週の火曜日だということもあるわけで。
読者の思い込みを逆手にとったなかなか面白い趣向。
しかし、途中まで「時間をさかのぼっている」と悟らせないための工夫も必要で、手の込んだトリックだともいえる。

あと、黒澤が登場しているのも高ポイント。
確か「ラッシュライフ」から登場している、伊坂作品ではおなじみの泥棒さん。
ひょうひょうとしていて好みのタイプなので、登場すると嬉しい。
けど、職業が職業なので、いつか手痛いしっぺ返しを食らうんじゃないかと心配です。

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佐藤青南「消防女子!」

タイトルが予想がつく通り、消防士としては駆け出しの蘭が、いろんな失敗や挫折を味わいながらも成長していく物語。
一応謎解きの部分もあり、ジャンルとしてはミステリーになるんだろうか。

蘭の父親がやっぱり消防士で殉職しており、その遺志をついで消防士になったりするあたりはまあありがちだが、ちょっとびっくりしたのは、蘭の同僚にも殉職者が出てしまったこと。
偏見かもしれないが、こういうパターンの物語では、身近な人にそういう死者はあんまりでないものなのに…ぎりぎりで助かったりするのに…。
でもおかげで、消防士という仕事がいかに危険と隣り合わせかがわかった。

ずっと昔だけど、中学校の同窓会をやったときに、消防士になった男の子がいたんだよね。
で、「消防士は保険に入れない」と聞いてすっごくびっくりした記憶がある。
危険すぎて保険に入れないらしい。
そ、そんな…。
家族はいったいどうすればいいんだ?
まあ、危険手当的な、何かそういう補助があるのかもしれないけど…。
でもさあ。

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北夏輝「恋都の狐さん」

メフィスト賞だというから読んでみたのに…なんだこりゃ。
ミステリーじゃないのはまあまだ許せる。
メフィスト賞だけど。
納得いかないのは、全然面白くないということ。
メフィスト賞なのに。
なんか、もうちょっとマシな作品はなかったのか…?

奈良の大学に通い始めた女子大生の主人公は、「節分」のイベントで、狐のお面をかぶった妙な男と知り合いになる。
いきなり手品で小銭を稼いだり、何かとあやしいところのある男だったが、それだけじゃない優しさを垣間見せることもあり、女子大生は次第に惹かれていく。
だが、彼のそばにはいつも同じ女性がおり、二人が恋人同士だと早とちりした彼女は…。

う~ん…まあかわいい恋の話と言ってしまえばそれまでだが。
なぜ男が狐のお面をかぶっているのか、その真実が明らかになるところがまあ「ミステリー」なんだろうけど…なんとなく予想できたしな。
真実がわかったところから、全然話が膨らまないので、「え?」と肩すかしをくらったような気持ちになる。
続編があるのかと思ったら、それもないみたいだし。
せめて続編書けよ。

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ウィングフィールド「冬のフロスト」

今までのシリーズの中では、わりと展開に驚きがないというか、地味だったかな?
でも相変わらず面白い。
フロストさいこー。

7歳から8歳の少女たちが次々と姿を消すという事件が勃発。
まったく手がかりがないなか、今度は娼婦たちが惨殺されるという事件が。
有能な女性部下が入院してしまったため、彼女の分の仕事も抱え込み、にっちもさっちもいかなくなったフロスト。
人員を増やしたくても、ケチな警視が残業代を出し渋るわ、デキの悪い部下が何度もポカをやらかすわで、捜査は難航。
ついに、少女たちの死体が発見されるのだが…。

正直、「芋にいちゃん」とあだ名されている部下があまりにも足を引っ張るので、こいつが真犯人なんじゃないかと本気で思った。
「明らかにこいつが怪しいじゃん!」と。
まあ、そこまでドロドロとした話ではなかったのが救いだけど。
それにしても、フロストはかなり優秀な刑事だと思うんだけど、それにしては扱いがひどいよね。
まあ、下品なジョークを連発するせいで、品性を疑われるからなんだけど。
でも事件を解決する手腕はお見事。
ときどき勘を外しても、なんとなくうまく収まってしまうところはさすが。

フロストはダメ刑事みたいな印象だけど、本当は事件に対して誰よりも真摯に向き合っているんだよね。
このシリーズは本当に面白い。
…のに、作者が死んじゃったからあと1作しか読めない…うぐぐ。

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