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黒川博行「破門」

直木賞を受賞した話題作。
疫病神シリーズは大好きなんだけど、正直これが直木賞か…と思わないでもない。

例によって、桑原に一方的に呼び出された二宮。
組が映画出資話にいっぱい食わされたということで、その犯人捜しに奔走させられる羽目に。
だが、その詐欺話の裏には、敵対する組の思惑が絡んでおり、逆上した桑原は相手の組員に大けがを負わせてしまう…。

とにかく、だれがだましているのか、だまされているのか。
二転三転して話がややこしい。
とはいえ、腐れ縁の二人の掛け合いは相変わらず。
二宮も段々図々しくなってきて、何かというと桑原に金をせびるのがうまくなってきた。
そう考えると、桑原って決してケチじゃないんだよね。
払うべきお金は出し惜しみしない。
ご飯もおごってあげるし。
こういう、持ちつ持たれつの関係だからこそ、このシリーズは長続きしているんだよね。

でも、今回けっこう思わせぶりな終わり方だったので、続編があるんだろうな。
ぜひ桑原には大暴れしてもらいたい。

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森見登美彦「聖なる怠け者の冒険」

朝日新聞で連載しているときにはちゃんと読んでいなかった。
なんか、途中で話がよくわからなくなっちゃって。
で、今回単行本で読んでみたら、やっぱり「全然知らない話だなあ」と。
しかし!実はかなり改稿されていたらしい。
道理で全然見覚えないと思った。

京都で人助けをする正義の味方として名を馳せていた「ぽんぽこ仮面」。
怠けるのが何よりも好きという小和田君は、偶然ぽんぽこ仮面と出会い、なぜか彼に「後継者にならないか」と勧誘されてしまう。
断り続けていた小和田君あったが、ある宵山の日に、ぽんぽこ仮面をめぐる騒動が巻き起こり…。

時間にしてみるとたった一日の話なんだが、いろいろありすぎて、あらすじが説明しづらい。
ぽんぽこ仮面の正体に、もうちょっと含みを持たせてくれてもよかたんじゃないかなーと思うが…。

ストーリーはともかく、相変わらず、登場人物が魅力的。
何より気になったのは、だらしない私立探偵。
これ、有頂天家族の二男じゃない!?
「井の中の蛙」とか言ってたし、弟の話もしてたし。
あの次男がこうやって人間として探偵やっているとしたら嬉しいなあ。

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高田郁「天の梯」

みをつくしシリーズがついに完結!
あーあ…。
しかし、内容的にはかなり満足。
以下ネタバレ含みます。

そもそも、わたしは小松原さまとは身分が違いすぎると思っていたのだよ。
なんというか、甘さのなさすぎる関係だったから、二人が夫婦になるところが全く想像できなかった。
で、その予想は外れなかったわけだが。
澪をちゃんと理解して支えてくれていたのは、実は源斎先生なんだよ~。
料理人として生きることを決意させたのも、源斎先生の言葉だったし。
なので、この結末はよかったと思う。
難を言えば、もうちょっと伏線を張っておいてほしかった。
結構唐突な展開だったからなあ。

で、旭太夫を身請けするための秘策というのが、なかなかよく考えられていた。
なるほどー、その手があったか!
こちらもまさに大団円なわけだが。
大阪に帰るというのは予想していなかったな。

で、これから番外編もちょろちょろ出るらしいので、それを楽しみに生きて行こう。

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宮尾登美子「蔵」

舞台化?かなにかされると聞いて、読んでみた。
実は、20年くらい前に一度読んでいるんだよね。
でもその時は、全然面白いと思わなかった。
というのも、主人公が「烈」だと思って読んでいたから。
主人公にしては内面描写が少ないし、なんか中途半端な話だな~と思っていた。
が!
それが大きな間違いだったということを今更知ったよ。
これは「家」の話なんだよね。

造り酒屋をしている田之内家に、待望の女の子が生まれる。
9人目にしてようやく育ったその子は烈と名付けられ、大事に育てられる。
病弱な母の代わりに、母の妹である佐穂がやってきて、烈の面倒を見るようになるが、幼い烈の目が段々見えなくなっていく病気だということが判明。
一家はどん底に落とされる。
烈の目の快癒を願って、祖母と母が巡礼の旅に出ようとするが、相次いで病死。
佐穂が母親代わりとなるのだが、烈の父が若い後妻を迎えたことで、家族の均衡が壊れ始める。

そう。
実は陰の主人公は佐穂なんだった。
この人がね~もう健気で健気で。
途中、烈の父が後妻を迎えちゃうくだりなんて、涙なしでは読めないよ。
切ない…。
最後も報われたような報われないような。
昔はこういう生き方をした人が多かったんだろうなあ。

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