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奥泉光「東京自叙伝」

この作家は、いつでもチャレンジングな小説を作るなあ~。
感心するしかない。
この「東京自叙伝」も、設定からしてぶっ飛んでいるのだが、それが猛烈に面白い。

幕末から現代まで、東京で生まれ育ったとある男の輪廻転生の話。
常に時代の流れに乗っかって、のらりくらりと生きている無責任男の一人語りで話が進んでいく。
とにかく、この男が本当にひどい。
「無責任」とかそういう次元じゃないよね。
どうしても辻斬りをしたくなって、適当な相手を見つけて斬ったはいいけど、その犯人として別の男が捕まったのを「まあ元から社会には害になるような男だったので、なるべくしてそうなった」などと、まったく反省の色がない。
そして、いろいろ都合が悪くなると、どんどんと転生を繰り返す。だが、舞台は必ず東京なのだった。
激動の幕末明治を乗り越え、関東大震災や太平洋戦争を乗り越え、戦後の混乱期を社会の裏側で生きていく。

したたかで、本当に図々しくて、ずぶとくて、でもなんとなく憎めないこの「男」の造形が本当にすごい。
帯文にもあったけど、この男は日本人そのものなんだよなあ。
なんとなく時流に乗っかって、のらりくらりしている。
そして常に過去を反省しない。
日本人って本当にどうしようもないな。
「東京自叙伝」というタイトルだけど「日本人自伝」でもいいかもしれない。

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