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ロジーナ・ハリソン「おだまり、ローズ」

最近メイドものの本をよく見るのだが、これぞ本物のメイドの自伝。
アスター家の女主人付きメイドとして三十年以上勤めてきた著者が、イギリスの伯爵家の日常と、一風かわった女主人のキャラクターを丁寧に綴る。

原題はもっとふつうのタイトルなのだが、この女主人の口癖が「おだまり、ローズ」なので、まさにぴったりのタイトル。
逆にこのタイトルじゃなければ、これほど売れなかっただろうな。
メイドと言っても、森薫の「エマ」みたいに、絶対に越えられない壁があるという感じでもなく、主人と丁々発止のやりとりをするあたりは痛快。
執事もリー氏という超優秀な人材がいるのだが、女主人に不満がおさえきれず、「やめさせていただきます」と告げたところ、彼女が「これからどこに行くのか教えて。わたしもそこに行くから」と言ったというやりとりは興味深い。
主人が絶対的に偉いというわけでなく、主人とそこに使える人間というのは、お互いに必要としあっているのだな、ということがよくわかる。
もちろん越えられない壁もあっただろうけれども、それ以前に人間としてちゃんと尊敬しあっていたことが伝わってくるのだ。
もうこの時代に戻ることはないだろうなあ。

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