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鷹見一幸「宇宙軍士官学校」

宇宙人遭遇モノはいろいろあるが、大体遭遇するまでとか、遭遇した瞬間とかがメインになっているのに、遭遇した後から話が始まる珍しいパターンのSF。
だが面白い!

地球人よりも上位に位置する異星人アロイスと遭遇し、「マインドリセット」(地球人は宇宙の中の一つの民族にすぎないという自覚)が芽生えてから15年。
アロイスの要請により、地球の若者たちが士官候補生として召集され「宇宙軍士官学校」が設立されることになる。
メンバーとなった一人、有坂恵一は、厳しい訓練を乗り越えて宇宙軍の士官となり、学校に入学してくるわずか15歳の子供たちを教育することになる。
しかし、学校が始まる間もなく、「粛清者」と呼ばれる侵略者によって地球が危機にさらされ、恵一たちは出撃することに…。

シリーズはまだまだ終わっていないのだが、この先どうなるのか気になる。
アロイスという地球より上位に立つ宇宙人のさらに上位にはケイローンという宇宙人がいるのだが、これらの知的生命体はみな「人間」のかたちをしているのが面白い。
つまり、人間は地球で独自の進化を遂げたわけではなく、これらの上位人種によって生み出されたものだという。
まあ、スター・ウォーズみたいにあんまりてんでんばらばらだと、違う設定のSFになりかねないからなあ。
このシリーズの要はズバリ、「成長する人間だけが生き残る」ということ。
持って生まれた才能がどんなに素晴らしくても、周囲の影響や学習によって成長できない人間には用はないという。
若者たちにはわりとわかりやすいメッセージかもしれない。

粛清者の正体はなんとなく想像しているのだが…あたっているかなあ。

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トム・ロブスミス「チャイルド44」

映画になって興味を持って読んでみたのだが…暗い!暗いよ!

舞台は第二次大戦後、スターリン政権下のソ連。
国家保安省でスパイの摘発にいそしむレオ。
ある日、鉄道で死体となって見つかった同僚の息子の事件に関わるが、目撃者の証言から家族たちは殺人を主張するものの、「犯人がわからない殺人などこの国家で起こってはならない」という建前から、レオは事故死として片づけてしまう。
だが、その後も同様の手口の殺人が続いていることを知り、レオは真犯人を探すべく動き始めるが、その行動によって地位を追われ、命を狙われることになる。

とにかく怖い!ばんばん人が死ぬ。それも本筋と関係ないところで。
つまりは「粛清」ということなんだけど…社会主義ってなんなんだろうね。
もとは、すべての人間が平等な社会を作り上げるという理想があったはずなのに、現実は政府に逆らったら即死刑。
やっぱり、「みんな横並び」というのは人間の本性と合わないんだろうなあ。

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池井戸潤「ロスジェネの逆襲」

半沢直樹シリーズ第三弾。
ロスジェネ世代には気になるタイトルだったのだが…。

東京中央銀行から証券会社に出向となった半沢は、あるIT会社の企業買収を手がけることになる。
だが、話を進めた矢先、その案件を東京中央銀行に横取りされてしまう。
関係者たちの裏切りによるものだったが、そこに企業の陰謀をかぎとった半沢たちは「倍返し」の逆襲に挑む。

相変わらず、後半のどんでん返しが爽快。
なんというか、経済界でこういう展開を考えられるというのはすごいな。
アクションとか殺人とか何もないのに、読んでいてワクワクするもん。

心配していたのだが、どちらかというとロスジェネ世代に同情的な内容だった。
半沢たちはバブル世代の恩恵にあずかった世代だけど、お互いに対立するわけではなくて、いまこの不況という現実にそれぞれの立場でがんばろう、みたいな。
しかし、半沢はまた東京中央銀行に戻ることになったわけだが、大丈夫なのか?

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森見登美彦「有頂天家族 二代目の帰朝」

う~ん…やっぱり「有頂天家族」は面白いなあ。
タヌキの家族というところが秀逸だよね。

天狗の赤玉先生の息子が、突然京都に帰ってくる。
親子は弁天をめぐって諍いとなり、断絶していたのだった。
一方、偽右衛門の後継者となる準備をしていた矢一郎たちと、叔父である夷川の対立も深刻化。
天狗の二代目はどうなるのか、そして偽右衛門は?
矢一郎と矢三郎の恋もからんで大騒ぎ!

という、前回同様のドタバタコメディなわけだが、文体が独特なので、リズムにのってさくさく読める。
矢三郎兄弟の祖母とか、矢一郎の片思いの相手とか、新しい登場人物(狸物)?もいい味を出している。
あと、海星がなぜ姿を現さないのかという理由も明らかに。
なんだか納得できるけど、姿を出さないままの方がよかったような気も。

個人的には弁天がいらないのだが、まあ物語のアクセントとしては必要か。
でも今回は弁天がしっぺ返しを食らうので、いい気味だわ。
二代目にはがんばってもらいたい。

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