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野崎まど「死なない生徒殺人事件」

山本弘の「翼をもつ少女」というビブリオバトルの本の中で取り上げられて、絶賛されていた作者なので読んでみた。
正直、これがなければ全然聞いたことがない、ライトノベル系の作家。

とある女子校に勤務することになった伊藤。
幼稚園から高校までそろっているその女子校には、「死なない生徒がいる」という不思議な噂があった。
半信半疑だった伊藤のもとに、識別組子という少女が現れ、「自分がその死なない生徒だ」と告げるのだが、彼女は間もなく何者かに首を切り落とされた死体となって発見される。
死なない生徒のはずなのになぜ殺されたのか。
戸惑う伊藤の前に、識別組子の心を持つ別の生徒が現れて…。

軽くネタバレしてしまうと、エマノンシリーズをちょっと髣髴とさせる感じ。
まあそういう風に死なない方法もあるか!という驚きもあるのだが、一番驚いたのは最後の数ページ。
識別組子と友達になりたいと、ずっと付きまとっていた生徒がいるのだが、彼女の発言でいろいろひっくり返される。
なるほど~。これはSFだわ。

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高峰秀子「私の渡世日記」

日本の大女優、高峰秀子の半生をつづった手記。
子役時代から結婚するまで、波乱にとんだ人生を、軽妙な筆致で描いている。
子どもの頃からほとんど学校に通えなかったということだが、文章がとてもいい。
うまいというのではないけれど、素直でてらいのない、面白い文章に仕上がっていると思う。

よくよく見てみると、それほど美人というわけではないんだよね。
目は細いし、わりと平べったい顔立ちだし。
でもこれだけ売れたというのは、演技力はもちろんだけれども、いろんな人にそのキャラクターを愛されたからじゃないかという気がする。
この本の中でも、谷崎純一郎とか梅原龍三郎とか東海林太郎とか、各界の著名人に気に入られていたことが書かれていたし。
大体、子役出身は大人になると役がなくなっていくものだけれども、ずっとその年齢に合わせた役が途切れることがなかったというのは、女優としてだけではなく、一人の人間として魅力的だったからだろう。

それにしても、母親との確執は読んでいてつらいものがあった。
実際には叔母に当たる人が育ての母になったみたいだけれど、「生さぬ仲」だからこそなのか、一時は憎み合うような関係にもなりながら、最後母親が認知症になるまできちんと看取ったり。
家族が一番、付き合うのが難しいのかもしれないな。

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堀川アサコ「たましくる」

盲目のイタコの美少女、千鶴と、彼女のもとに姪といっしょに転がり込むことになった幸代。
二人が織りなす、ちょっと不思議な事件帳。
…なのだが。

う~ん…ファンタジーなのかミステリーなのか、それともその両方なのか、話によって方針がばらばらなので、読者としての立ち位置が難しい。
オカルトに見せかけたミステリーというのはよくあるけれども、まったくオカルト的要素がないわけでもないし、かといって完全にイタコ能力で解決ということもないし。
ちょっといろいろ中途半端だったのか残念。

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梶尾真治「怨讐星域」

よく考えたら、梶尾真治の本を読むのは初めてかもしれない。
かなり特殊な発想のハードSF。

太陽のフレア化により、地球が飲み込まれようとしていることが判明。
アメリカ大統領と選ばれた3万人の人々は、ひそかに「ノアズ・アーク」という宇宙船を作り、地球から脱出。
残された人々は、彼らを呪うのだが、そのとき物質転送装置が発明され、ノアズ・アークの人々よりも先に、彼らの移住先の惑星へと転送していくことに。
だが、無事にたどり着けた人々はごくわずか、しかも未知の生物が跋扈している惑星ということで、開拓者となった人々は団結してそれらの脅威と戦い、子孫を残していく。
ノアズ・アークの人々をひたすら呪いながら。
一方、ノアズ・アークの中でも世代交代が起こり、百年以上の年月をかけてたどり着いた先には、すでに知的生命体がいることを知り…。

同じ人類が、別の方法で惑星移住を果たし、再び邂逅するまでをオムニバス形式で描いていく。
転送装置とか、三万人が移送できる宇宙船とか、初期設定に無理はあるけれども、それぞれに自分の人生を必死に生きていく様がなかなか泣かせる。
特に好きだったのは、移転することを選ばす地球に残った人々のエピソード。
最後の日までを悔いなく生きるために、するべき仕事はきちんとし、出会いを大事にしていくというのがとてもいい。

一番気になったのは、最後に邂逅したあとにどうなったかというところだが、SFとしてはかなり生ぬるい終わり方とはいえ、ここまで引っ張って最後救いようのない結末というよりはずっとマシかと。

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