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上田秀人「目付鷹垣隼人正裏録」

「奥右筆」シリーズがあんまり面白かったので、こちらも読んでみた。
もっと長いシリーズなのかと思いきや、たった2冊で終了。

内容的には、「奥右筆」シリーズと設定が似ている。
とつぜん目付に抜擢された暁は、将軍綱吉からも直接声をかけられる。
彼に命じられたのは、家康が残したという書付の正体を知ることだった。
暁は、妻の兄でもあり親友でもある平太郎とともに、その秘密を探ろうとするのだが、そこには決して触れてはいけない、徳川家と春日局に関する真実が隠されていた…。

知の暁と武の平太郎という組み合わせは、まんま奥右筆シリーズ。
だけど、結論を急いだわりに、あっちいったりこっちいったり、寄り道が多いのが難。
ちゃんばらも嫌いではないが、もうちょっと落ち着いて取り組んでほしい感じ。

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西加奈子「ごはんぐるり」

西加奈子のエッセイは抜群に面白いな。
作家でもエッセイが面白い人とそうでない人がいるが、やっぱりエッセイが書ける人の方が、小説もうまいような気がする。
ユーモアがあるのよ。

これはごはんにまつわるエッセイ集。
実際に世界の料理を作ってみたりもするのだが、個人的に一番面白いと思ったのは、幼少期を過ごしたエジプトの思い出。
やっぱり外国ならではの苦労があったらしいが、それも笑いに変えてしまうところはさすが。
キャンプファイヤーで、みんなが手に持っているろうそくを火になげこむというイベントで、エジプト出身者たちだけが、そのろうそくを危険をかえりみずにひろったという話は笑ったわ。
停電が多いエジプトでは、ろうそくは貴重らしい。
こういういろんな体験が、今の小説に活かされているんだろうなあ。

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宮部みゆき「ペテロの葬列」

昨年も安定の過疎ブログですが、42冊投稿してました。
週に一冊を目標にしていたので、まあまあそれは達成できたかな。

ということで、新年一冊目。

先にドラマを見てしまったので、インパクトはやや弱かったが、でも面白かった。
しかし不満もあるわけで…。

取材に出かけた帰りのバスで、編集長とともにバスジャックに遭遇した杉村。
バスジャックの犯人は初老の男で、銃で脅して乗客を人質としながらも。巧みな話術で彼らを自分のペースに取り込んでいく。
結局、犯人は警察の突入とともに自殺するのだが、彼が「慰謝料」として人質たちにお金を残したことで、大きな波紋を呼ぶことになる。

こうして原作を読んでみると、ドラマはかなりうまい脚本だったなということがよくわかる。
原作ではかなりさらっとしていた、同僚の真野の存在をかなり増やして、より伏線を効果的にしている。
あと、慰謝料に目がくらんでしまう元人質の心の変化なども、ドラマの方が説得力がある感じに仕上がっていた。

あとネタバレしてしまうと、奥さんの浮気の件。
原作では唐突なだけにインパクトがあったが、ドラマでは少しずつそういう雰囲気をにおわせていて、そこもうまかった。
奥さんは最初から杉村とうまくいかない気がしていたんだよね。
育ちが違うというよりも、人とのかかわり方が違うというか。
杉村はお人よしなだけに、とことんまで周囲の人とかかわってしまい、そこがいいところでもあるんだけど、奥さんは基本的に自分のことしか考えていない。
だから、最後は奥さんに腹が立ったが、なるべくしてなったということだろうな。
次回作が楽しみだわ。

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