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スティーブン・キング「ドクター・スリープ」

ジャック・ニコルソンの映画で話題となった「シャイニング」の続編。
主人公のダン少年が大人になったあとの話。

「シャイニング」は一応読んだけれども、思ったよりも怖くない…というか、「シャイニング」という言葉自体に怖い意味があるのかと思ってしまったが、文字通り「かがやき」という意味だった。
このダン少年が超能力的な「かがやき」を持っているということ。

このダンは大人になって父親と同じようにアルコール中毒になっていた。
しかし、そのためにひどい行為をしてしまったことを後悔し、断酒会に参加するようになる。
そうしてようやく酒の誘惑に勝てるようになったころ、ある少女の存在が気になり始める。
その少女はアブラ。
ダンと同じか、もっとつよい「かがやき」を持っている少女だった。
しかし、彼女の力を狙って、「真結会」という魔性のものたちが忍びより…。

正直、最後はもっとカタルシスがあるというか、ヒサンな終わり方になるかと思っていた。
でも案外大団円。
よく考えてみたら、キングは大体ハッピーエンドなんだよね。
でももうちょっと何かあってもよかったかなあ。

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辻村深月「ハケンアニメ!」

てっきり派遣社員ががんばるアニメ業界という意味のタイトルかと思ったら、「覇権アニメ」ということらしい。
これ作者の造語かなあ。
あんまりいいタイトルじゃないな。

同時にテレビに放映されるアニメの中で、もっとも話題をさらった作品におくられる「ハケンアニメ」という称号。
かつて魔法少女アニメに革命を起こした鬼才・王子監督、そして超有名大学からアニメ業界に入った新進気鋭の女性監督・斉藤、それをサポートするアニメ会社の人間や、委託でアニメーション作成を請け負っているアニメーターなど、アニメをめぐる人々の熱い思いが描かれれる。

まあ辻村深月もアニメが好きなんだろうなあ。
この小説そのものよりも、むしろ作中作のアニメが面白そう。
「サウンドバック」と呼ばれる作品があるんだけど、これが音を奏でるごとに新しい変形ロボットが生まれるのだが、それと同時に主人公は永遠にその音を失ってしまうという設定。
なかなかよく考えられているなあ。

魔法少女アニメの方は、どうにも「まどかマギカ」をイメージしているとしか思えないが。
どうなんだろう。

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ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊」

「宇宙軍士官学校」みたいな本が読みたくて借りてみた。
まあ似てなくもないが、どちらかというと「銀河英雄伝説」ぽいかなあ。

長きにわたるアライアンス対シンディックの戦争で、破壊された戦艦から救命ポッドで脱出したギアリーはそのまま100年間宇宙を漂流し救助される。
冷凍睡眠状態だったために、いきなり百年後の世界に放り込まれるかっこうとなったギアリーだったが、艦隊を率いる大佐として故郷に帰るまで指揮を執ることになる。
だが、そこは敵だらけの宙域で、しかも時代の流れとともに部下が上司に従わない風潮になっており、ギアリーは孤立を余儀なくされる。

最初は、ジェネレーションギャップが逆に敵の裏をかくことにつながって、うまい具合に戦闘に勝てたりとかするところが面白かったのだが、3巻あたりになるとさすがにマンネリ化してきて、艦内で痴話げんかが始まったりとかかったるい展開に。
まだまだ先は長いようだが、ここまで読めば十分かなあ。

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ローラン・ビネ「HHhH」

かなり変わったタイトルの本で、読むまえはずっと「ハハハハ」と読むのかと思っていた。
笑い声かと。
正解は「ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる」の頭文字。
ハイドリヒの暗殺事件と、それを執筆する過程をまとめて小説にしたというかなり変わった構成の本。

ハイドリヒというのはナチスの幹部で、ヒムラーの懐刀として有名だったらしい。
彼を殺すためにロンドンから暗殺者がプラハへと派遣されて、現地での協力者を得て、さまざまなアクシデントに見舞われながらも、暗殺に成功する。
だが、その報復として、その街の人々全員が虐殺されてしまう…。
これが小説ではなくて現実だというのだから本当に恐ろしい。

あまりにも血なまぐさい歴史的事件なのだが、それをこの著者が「なるべくフィクションを排除してありのままに書く」という使命のもとに、取材しながら書いていく様子が同時進行で挟まれている。
「こういう表現は事実とは違うかもしれないからダメだ」とか、そういうモノローグが頻繁に挟まっている。
だからこそ、読者はある意味客観的に読めるようになっている。

でも小説に慣れてしまっている私にとっては、いちいち現実に引き戻されてしまう感じがして、ちょっと読みにくかった。

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