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宮部みゆき「過ぎ去りし王国の城」

う、う~ん…宮部みゆきのファンタジーは、どうも相性が悪い。
なんというか、ファンタジーとしての設定にこだわりすぎて、その世界に入ってからのあれこれが薄い。
設定はいい加減でもいいから、もうちょっと展開を楽しませるような感じにしたらいいと思うのだが。

ひょんなことから、精密に描かれた城の絵を手に入れた真。
その絵には、描かれたものをその世界へと引きずり込む、不思議な力を持っていた。
真は、絵のうまい同級生とともに、絵の世界へと入り込み、そこで中年の男とであう。
彼もまた、不思議な力で絵の世界へと入り込んでいたのだった。
彼らはこの世界がどのようにつくられたのかを知るため、城の中にいる作者らしき少女と接触しようとするのだが…。

う~ん…最後に、現世に未練のない同級生と中年男が、いろいろ画策して絵の世界で生きていこうとするのだが、そこらへんの理屈がよくわからなかった。
というか、理屈は正直どうでもいいので、もうちょっと架空の世界でのあれやこれやを盛り上げてほしかったなあ。

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伊坂幸太郎「陽気なギャングは3つ数えろ」

伊坂作品で一番好きな「陽気なギャング」シリーズ第3弾。
この機会に、「地球を回す」と「日常と襲撃」も読み返してみたのだが、やっぱり一番秀逸だったのは、最初の「地球を回す」だな。
ありとあらゆる伏線が一番最後につながって、これぞ伊坂!という完成度だった。

それに比べると、今回のはやや物足りなかったかも。
相変わらず、それぞれの個性を生かして難局を乗り越えていくのは面白かったのだが、ちょっと最後強引なところがあった。
でも成瀬さんはかっこいいなあ。
こういうパーフェクトにかっこいいキャラクターを、何のてらいもなく出せるというのも、いいところかもしれない。

前作から数年後という設定なので、もしかしたら成瀬と雪子が…?と期待しないでもなかったのだが、そういう気配はみじんもなかった。
まあ、伊坂幸太郎にラブロマンスを求めてはいけないな。

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ピエール・ルメートル「その女アレックス」

ぎゃー!面白かった!
すごい話だ…こういう話をどうやったら思いつくのかわからん。

見知らぬ男にいきなり監禁されてしまったアレックス。
なぶり殺しにされるような極限状態に陥りながらも、必死に生きる道を探す。
一方、刑事のカミーユは、妻が同じように誘拐され殺されたというトラウマがあり、葛藤しながらもアレックスの行方を探す。
様々な手がかりを元に、ようやくアレックスが監禁されていた場所を発見するのだが…。

う~ん…いろいろネタバレになるので、あまり詳しくは書けないが。
全部で3部構成になっていて、1部の内容が2部でひっくり返され、3部でさらに転換していくという。
これ映画化するとか言っているけどできるもんなのかなあ。

それにしてもアレックスの生き様があまりにも切ない。
そういう部分も含めて見事な終わり方だった。

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加納朋子「トオリヌケキンシ」

ミステリーというほどではない、ちょっとした仕掛けがある程度のアンソロジーなのだが、それが読者の予想を心地よく裏切ってくれるので、どれもよかった。
涙なしには読めない。

特に最後の話。
これは作者である加納朋子の実体験に基づいているんだろうなあ。
もともとほのぼの系の話を書く人ではあったんだけど、ここまでストレートに優しさを描いた作品はなかった気がする。
あまり話題にもなっていないし、派手な作品ではないのだが、本屋大賞を上げてもいいんじゃないかっていうぐらいの佳作だった。

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