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ピエール・ルメートル「悲しみのイレーヌ」

「その女アレックス」で読者の度肝を抜いたルメートルだが、実はこの作品は3部作の2作目だったので、その前に第一部が存在する。
それがこの「悲しみのイレーヌ」。
しかし、この話のオチは「アレックス」の方でわかってしまっているので、そういう意味ではこっちを先に読むべきだった。

刑事カミーユは、連続惨殺事件の犯人を捜すうちに、その殺人がとある有名なミステリを見本にしていることに気付く。
自己顕示欲が強い犯人を気を引こうと、カミーユは独断で新聞に記事を載せ、犯人に呼びかけるのだが…。

タイトルロールのカミーユの妻、イレーヌだが、実はあんまり登場してこない。
なので、後半までこの奥さんのことを怪しんでいた私だった。
まあそれは外れだったんだけど。
意外な犯人というのはまあそうなんだけど、「アレックス」のインパクトの比べると、かなり弱い。
次の三作目もつい最近出版されたんだけど、カミーユの身にろくでもないことがおきそうで読むのが怖いなあ。

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米澤穂信「氷菓」

これも、ヤングアダルト向けミステリシリーズとして結構人気なんだけれども、言うわりにはミステリとしては大したことないしなあ。

できるだけ省エネモードで生きていきたい奉太郎。
だが、姉の言いつけにより「古典部」という部活に入部することになる。
そこに現れた美少女は、「おじさんにまつわる謎を解いてほしい」と依頼するのだが…。

これをどうやってアニメ化したのか気になったが、どうやらこれ一作ではなくてシリーズをアニメ化したらしいな。
確かに、これ一作だと全然話がもたないと思う。
登場人物がいかにもな感じなのもちょっと…。
主人公の一人がめちゃくちゃお金持ちとか。つまらん。
タイトルが一つの謎かけになっているのだけれども、それだけは納得できた。
なるほど。

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米澤穂信「満願」

う~ん…この作家とは相性が悪いのか。
いまいちな感じだった。
どれも人間の心の闇に迫ったサスペンス。
特に後味がわるかったのは「柘榴」という、姉妹の話。
こんな姉妹いるか?
基本的に全部後味が悪かったんだけど、それはそれでサスペンスだから仕方ないという割り切り方もできる。
ただ、あんまり好きになれないのは、基本的に人間があんまり魅力的じゃないからだろうな。
業が深いばっかりで感情移入しづらいのだ。

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大和屋暁 藤村恵子「ふるさと納税完全制覇読本」

今やすっかり定着した感のあるふるさと納税。
競馬の馬主となったことで、思わぬ大金を手にした著者に、そのいとこが「ぜひふるさと納税をやってくれ!」と猛プッシュ。
結局、気がのらない本人をよそに、いとこがふるさと納税しまくる、という話。
意外と手続きが簡単だったり、地方によってもらえる品がバリエーション豊かだったりと、前半はかなり面白かったんだけど…。
やっぱりお金が絡むとね。
そんなきれいごとだけではなかったいとこの思惑とかが見えてきた後半は、正直いってがっかりした。
なんだかなあ。
それにしても、大和屋という人は文筆業もやっているそうだが、いとこの藤村恵子の方がよっぽど面白い文章だったわ。
なんか、いちいち上から目線なので、読んでいてイラっとした。

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高橋和巳「邪宗門」

新年あけましておめでとうございます。
今年もできるだけアップしたいけど、ブクログの方に移行するか考え中。
あっちは結構いろんな人が見るから、いい加減なことはかけないしなあ。

ということで、長年リベンジしなければと思っていたこの作品をようやく読了。
確か、中学か高校ぐらいのときに一度読んでいるのだが、ストーリーをほとんど覚えていなかった、というか飛ばし読みで全然頭に入っていなかったので、いつかリベンジしたいと思っていたのだ。
それが文庫化されたので、ようやく読んでみる気になった。

多くの信者を抱えた新興宗教・ひのもと救霊会。
その教祖は、政府による宗教弾圧によって投獄され、主軸を失ったひのもと救霊会は迷走を始めてしまう。
教祖の娘である阿礼は自尊心に満ち溢れた高飛車な少女で、その妹の阿貴は小児麻痺にかかったせいで足が不自由で、ろくに学校に行くこともできなかった。
そんな二人の前に、孤児である千葉潔がやってくる。
人たらしともいえるような不思議な魅力を持つ千葉潔に姉妹は翻弄されるが、やがて阿礼は教団を守るために嫁いでいき、阿貴は教祖代行となって教団に残る。
しかし、教義をめぐって信者たちは次第に分裂していき、ついに千葉潔が勝ち目のない強硬策を断行する。

前回読んだときには気づかなかったけど、これは「大本教」という実在の新興宗教の宗教弾圧がモデルになっていて、それだけに教団が出来上がるまでの経緯がかなりリアル。
あと記憶と違っていたのは、わりと主人公たちの子供時代が長くて、最後に教団が崩壊するところは結構あっという間だったこと。
もっと最後の部分が長かったような気がしたんだけど。

それにしても、これだけの大作をよく日本で生み出せたなというのが、一番の感想。
新興宗教が陥りがちな展開といい、千葉潔の造形といい、なんというか日本文学が誇れるような作品だと思う。
今読んでも、途中理解しにくいところが結構あった。
もっと評価されてもいいはずなんだけど、難解だからなあ。
もし高橋和巳が生きていたら、ムラカミハルキなんて目じゃないほどにノーベル賞受賞の資格があったと思うよ。

なぜ中学高校とかいう時期に無謀にも読もうとしたかというと、親から何度も「本当は阿貴という名前にしたかった」と言われていたから。
でもさあ、はっきり言って不幸な少女なのに、こんな名前付けられたらたまんないわ。

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