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マーク・グリーニー「暗殺者の反撃」

待望のグレイマンの新作。
これが楽しみすぎて、読む前にシリーズを全部読み返した私だった。
あーやっぱり好きだわ~。
なんというか、冒頭が一番面白いんだよね。
最初っからトップスピードで。
ジェントリーは決して完璧な暗殺者ではないのだが、その場その場で臨機応変に危機を乗り越えていくところが人間くさくて最高。

そして今作ではついに、ずっとCIAがグレイマンを追い回していた理由が明かされる。
正直、「え?それだけ?」と思わないでもないが…。
かつての仲間のザックが登場したり、危機を救ってくれたハンリーが登場したり、今までのシリーズの総集編的な要素もあり、読み返しておいてよかったかもしれない。

ただ!
やっぱりグレイマンは孤独に戦っていてほしかったという気持ちも…。
ヘンに味方ができちゃうのもなあ。
一人で頑張っているのがかっこよかったのに。
と思わないでもない。
しかしシリーズはまだまだ続きそうなので安心した。

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深緑野分「戦場のコックたち」

今までにないようなシチュエーションのミステリ。
こういう作風が日本から出てくるのは驚き。

キッドと呼ばれる青年は、第二次世界大戦で徴兵され、コック兵を務めることになる。
様々な個性の戦友たちに囲まれるなか、ノルマンディー上陸作戦が決行。
なんとか無傷で乗り越えたものの、現地でパラシュートがなくなるという不思議な事件が起きる。

ミステリ要素も確かにあるにはあるのだが、それ以上に印象的なのが過酷な戦場の現実。
さっきまで一緒に笑っていた戦友が、次の瞬間に爆撃で死んでいる。
パラシュートの行方も解決はされるのだが、その解決を戦争が踏みにじってしまうのが悲しい。
キッドたちはアメリカ人ではあるが、フランスに上陸してドイツ軍と戦っていて、そのドイツ軍とのやりとりも味わい深い。
敵も人間だということをきちんと描写しているところが、非常に評価できる。
このシチュエーションで続編はないと思うけど、今後も楽しみな作家だ。

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角幡唯介「アグルーカの行方」

南極探検に失敗して全員死亡したという「フランクリン隊」の足跡をたどり、徒歩で南極を踏破するという冒険の記録。
アグルーカというのはエスキモーの言葉で「大股で歩く人」だったかな?、ここを訪れた白人のことを指しているのだが、それが誰なのかというところも謎になっている。
フランクリン隊についてはあまり詳しくは知らなかったのだが、ダン・シモンズの「ザ・テラー」という小説を読んだことがあって、それがまさにフランクリン隊をモデルにしていたので、これか!とちょっとスッキリした。

それにしても、この人は過酷な旅が好きだなあ。
興味深かったのは、こういう極寒の地では、体温を維持するためにものすごくカロリーが必要になるということ。
一日に5000キロカロリーを摂取しているにも関わらず、冒険している二人はどんどん痩せていってしまう。
食べるものがないわけではないが、一日の食料は決まっており、空腹に耐えかねた二人がとうとうジャコウ牛の親子を撃ち殺して食べてしまうところはちょっと胸が痛んだ。
やっぱり、ダイエットするなら冬なんだという結論。

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宮部みゆき「三鬼」

三島屋シリーズ第4弾。
宮部みゆきの作品の中ではこれが一番好きだったというのに…。
なぜ過去形かは以下ネタバレ。

いつもように短編集で、どれもなかなか面白かったのだが、全体的に怪異色は控えめだったかもしれない。
それよりも何よりも、一番最後の「おくらさま」はいったいなんなのよ!
私はこのシリーズで、おちかと利一郎が少しずつ距離を縮めていく様子を読みたかったのに、なんと利一郎は元いた藩で再仕官がかなって帰ってしまうという。
しかも!親友が亡くなったあとの後釜として三人の子供の父親になるという。
なんだそりゃ。なんだそりゃ。
そういう展開にするなら、利一郎視点の話とか入れるなよ!
てっきり固定のキャラクターだと思っていたのに。
まあ確かに、段々登場数が少なくて影が薄くなっていく感じはしていたけど…。
そして、町娘のおちかと浪人の利一朗がくっつくのは難しいかもしれないけど…。
利一郎の代わりに、なんかヘンな貸本屋が出てくるし。
いや、こいつとおちかがくっつくから許してね、とかそういうことじゃない!
はあはあはあ。

あー、今日はイヤなことがあって、この本を心の支えにしてきたのに。

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よしながふみ「あのひととここだけのおしゃべり」

以前にも読んだはずなんだが感想は書いてなかったかな?
よしながふみの対談集。
同世代なので読んでいる少女マンガがけっこうどんぴしゃで面白かった。

一番納得したのは、最初のやまだないとと福田里香との対談。
「なんで文化人の男の人は大島弓子をわかりたがるのか」。
これすっごい納得!
わたしも時々、「少女マンガ結構好きだよ」という男の人に会うのだが、その人たちがそろって口にするのが大島弓子。
でもさ、大島弓子って少女マンガとしてはかなり異端だよ。
これが少女マンガだと思っていたら大間違い。
なのに、なんでか大島弓子がわかる=少女マンガがわかると思っているのでタチが悪い。
大島弓子、萩尾望都、高野文子、岡崎京子。
ここらあたりは少女マンガではないのであしからず。

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朝井まかて「眩」

葛飾北斎の娘、お栄の話。
父である北斎のもとで、ひたすら絵に没入するお栄。
一度は嫁いだものの、絵を描くことを嫌がられて出戻ってからは、女としての幸せではなく、絵師としての生き方を選んだのだが、何かと気遣ってくれる善次郎への思いを自覚してしまってから、ひそかに懊悩するようになる。
そして、どんなに叱っても悪事を繰り返す甥っ子に手を焼き、北斎一家はその尻拭いに奔走させられ、お金のために「富嶽三十六景」を売り出すことに。

やっぱり、わたしのお栄のイメージは、杉浦日向子の「百日紅」なので、そのつもりで読むといろいろと裏切られてがっかりしてしまう。
先入観なしで読めばもっと楽しめるのかもしれないけど。
とにかくこの甥っ子がいちいち足を引っ張るので、腹立たしい。
こいつの話を読んでいるんじゃないんだよ。
お栄の話が読みたいんだよ。
という不満がふつふつと。
善次郎との関係も、「百日紅」では絶対にありえなかったので、なんだか違和感がぬぐえないのだった。

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