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深緑野分「戦場のコックたち」

今までにないようなシチュエーションのミステリ。
こういう作風が日本から出てくるのは驚き。

キッドと呼ばれる青年は、第二次世界大戦で徴兵され、コック兵を務めることになる。
様々な個性の戦友たちに囲まれるなか、ノルマンディー上陸作戦が決行。
なんとか無傷で乗り越えたものの、現地でパラシュートがなくなるという不思議な事件が起きる。

ミステリ要素も確かにあるにはあるのだが、それ以上に印象的なのが過酷な戦場の現実。
さっきまで一緒に笑っていた戦友が、次の瞬間に爆撃で死んでいる。
パラシュートの行方も解決はされるのだが、その解決を戦争が踏みにじってしまうのが悲しい。
キッドたちはアメリカ人ではあるが、フランスに上陸してドイツ軍と戦っていて、そのドイツ軍とのやりとりも味わい深い。
敵も人間だということをきちんと描写しているところが、非常に評価できる。
このシチュエーションで続編はないと思うけど、今後も楽しみな作家だ。

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