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ジョージ・R・R・マーティン「七王国の騎士」

「氷と炎の歌」シリーズのスピンオフ。
ダンクと呼ばれる長身の騎士と、その従士であるエッグの道中を描いた短編集。
本編の前日譚にあたるので、懐かしい名前があったりして面白い。

一番最初の「草臥しの騎士」では、ダンクとエッグの出会いが描かれているのだが、ここでダンクがターガリエン家の御曹司と諍いを起こし、決闘する羽目になる。
そこで救援に駆けつけてくれたのが、王の第一継承者なんだが、これがあとあとに七王国の悲劇への布石となってしまうのだな。
世界の歴史というのは、こんなちょっとしたことで変わってしまうというのが興味深い。

ダンクはもともとは孤児で、騎士に拾われて従士となり、その騎士が亡くなって後を継いだので、生まれ持っての騎士ではないにも関わらず、ここに登場するどの騎士よりも騎士らしい。
そこがこのダンクとエッグのコンビの魅力となっている。
本編はやたらと血なまぐさいからなあ。
まあこっちも無傷というわけにはいかないけど。

それにしても本編はどうなっているんだ。
テレビシリーズが一段落したら、原作に戻ってくるかなあ。
まあ完結前に作者が死ぬ確率がますます高くなりつつあるけど。

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ジャック・ヴァンス「宇宙探偵マグナス・リドルフ」

探偵と銘打っているが、完全にSF短編集。
それもかなりハード目の。

マグナス・リドルフが、自ら巻き込まれたり。依頼されたりした事件を痛快に解決していく。
ただし、事件はミステリ風味だが、解決方法は完全にSFという。
たとえば「とどめの一撃」では、さまざまな宇宙人たちが集う場所で起きた殺人事件の犯人を捜すというものだが、「この惑星の星人は、服装にあった行動しかとることができない。よって無実」とか、とにかく地球の価値観では測れないような方法で解決していく。
でも、これって実はけっこう示唆に富んでいるなと。
マグナス・リドルフは、その星の風習や生活を知るべきだということを何度も強調しているんだよね。
つまり、それぞれの価値観で善悪を判断することの危険性を指摘しているというわけで。

世界の正義が揺らいでいるいま、こういう考え方が必要なんじゃないかなあ。

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山本弘「幽霊なんて怖くない」「世界が終わる前に」

BISビブリオバトル部のシリーズ、第2作と第3作目。
いろんな本が紹介されていて面白いシリーズではあるのだが、登場人物にクセがありすぎて、いまいち入り込めない雰囲気もあるのだった。
で、一番感情移入できないのが、主人公の一人である武人。
いろんなトラウマからノンフィクションしか読まなくて、空がはまっているSFを敬遠しているという設定。
とにかくひねくれまくっていて、可愛げがない。
普通なら空といい雰囲気になってもよさそうなのに、まったくそんな気配がない。
むしろ、この二人がくっついたら不幸せにしかならない気がする。

それにしても、ここで新井素子の「ひとめあなたに…」が紹介されていて、懐かしい気持ちになった。
むかしめちゃくちゃ新井素子にはまってたからなあ。
今となっては、あの口語調がどうしても生理的に受け付けなくなってしまったが。
年を取ったということか。

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ナオミ・ノヴィク「ドラゴンの塔」

「テメレア戦記」の作者の新作ファンタジー。
うう~ん…予想していたのと違った…。

アグニシュカの村では、10年に一度、一人の少女がドラゴンと呼ばれる領主の元に差し出されることになっている。
その年、だれもが選ばれるだろうと思われた少女ではなく、アグニシュカが選ばれてしまう。
戸惑いながらも塔での生活を始めるが、次第にドラゴンが魔法使いであること、そしてアグニシュカにも魔女の資質があることがわかる。
やがて、アグニシュカの村が「森」によって浸食されつつあることがわかり、アグニシュカとドラゴンはそれに対抗しようとするのだが…。

もうちょっと、アグニシュカとドラゴンの恋愛話が中心かと思ったら、全然そんなことはなく。
ドラゴンがちょっと愛想がなさすぎ。ツンデレでデレがなさすぎ。
そして後半は、ひたすら「森」との戦いに終始してしまうので、ちょっとつらかった。
登場人物の末路もかなり救いがないしなあ。
でも、着せ替えの魔法というのはちょっとうらやましかった。

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坂木司「アンと青春」

「和菓子のアン」の続編。
こっちも読んでいるはずなんだが、和菓子屋でアルバイトしている杏という少女の話、というぐらいしか覚えてなかった。
まあそれだけでも十分なんだが。

それにしても、けっこうこの本、人気があったはずなのに、なんか暗い話だったわー。
杏が真面目すぎて、いちいちネガティフ゛になりすぎ。
お客さんのひとこととか、先輩から言われた言葉とか、そんなのに過剰に反応して、仕事へのやる気を失ってしまう。
でもさ、所詮(といったら何だけど)、アルバイトじゃん。
そんな一生をささげた仕事ということでもないのに、なんでそんなにいちいち深刻なのか。
若いんだから、そういうのをもうちょっと軽々と乗り越えてほしかったわ。

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