« 2017年4月 | トップページ | 2017年6月 »

モー・ヘイダー「虎狼」

もう最悪な終わりかたしか考えられなくて、途中で読むのをやめようかと思った。
まあ…思ったほどは悲惨ではなかったが、後味が悪いという意味では予想以上。

ある夫婦と一人の娘がいる、村から少し離れた別荘に、警官だという二人連れがやってくる。
娘にはかつて、恋人が惨殺されたという過去があり、この警官もその関係で現れたのかと思われたのだが、実際はもっとおぞましい理由だった。
キャフェリーという刑事は、別の事件を追ううちに、この家族の危機を察知するのだが…。

ネタばれしてしまうと、この警官二人が犯人だったわけだが、それにはいろんな裏があって、それが最後のどんでん返しにつながっている。
あらすじだけ読むと、この二人に拷問されて家族が惨殺…みたいな展開かと思っていたので、そうではなくて、ある意味もっと悪い展開。
あー…このキャフェリー刑事はシリーズになっていて、ほかにも作品があるようなので、まあその気になったら読んでみようかと思う。

| | コメント (0)

森見登美彦「ぐるぐる問答」

エッセイかと思っていたら対談集だった。
なんというか、この作者に対談なんてできるのか?と思っていたけど、まあ対談としてはまともというか、ふつうにちゃんとやりとりしていた。
(なんかひきこもりっぽいイメージだったから…)
でも、全体としてお互いに遠慮がちで、赤裸々トークには程遠い感じ。
もうちょっと星野源の対談みたく、ミーハー心を丸出しにするとか、対談相手への個人的な興味を前面に押し出してもよかったような気がする。

| | コメント (0)

支援BIS「辺境の老騎士」

いろいろと言いたいことがあるこの本…。
元もとは「小説家になろう」の方で読んだのだった。
あまりの面白さと、伏線の回収の見事さに舌を巻いた。
下手な文学作品よりもスバラシイ。

というのが私の評価なのだが、この単行本の方は、3巻で刊行が止まってしまっている。
いわゆる打ち切りというやつだろうか。
確かに…いわゆるライトノベルと同じ系列に並べるには、地味すぎる。
巨乳の美少女とか、転生してきた勇者とかが出てくるわけではないし。
主人公はタイトル通りの老騎士だし。
でもこの老騎士がめっちゃいい味出しているんだけれども。

あと表紙のイラストのせいだという意見も見たことがある。
イラストレーターはわたしの好きな笹井一個という人なんだけど、これもライトノベルとしては異色。
でも牧歌的な雰囲気が作品とマッチしていると思うんだけどなあ。
読んでない人にはわからんか。

とにかく、強く続巻の刊行をのぞむ。

| | コメント (0)

高田郁「あきない世傳 金と銀」

「みをつくし」シリーズが終わってしまって、ちょっと寂しかったのだが、新しいシリーズがいつのまにか始まっていたらしい。
今度は大阪を舞台に、「商人」の世界を真っ向から描いている。

学者の娘として生まれた幸は、飢饉のときに優秀な兄と父を相次いで病気で亡くし、「五鈴屋」という呉服商に奉公にだされることになる。
持前の学究心と向上心から、番頭にも目をかけられ、少しずつ商いの極意を覚え始めていくが、跡取りである長男の放蕩のせいで、五鈴屋は危機を迎えてしまう。

う~ん…澪もそうだったけど、幸がまたいい子でねえ。
名前の通りに幸せになってもらいたいところだが、いろんな状況がそうさせてくれなさそうで、先が怖い。
まあアンハッピーエンドということはないと思うが…。

そういえば、みをつくしシリーズがNHKで再ドラマ化されている。
前は主人公が北川景子という、全然原作と違うやんけ!と言いたくなるような配役だったのだが、今回は黒木華で、「わかってるじゃん」と嬉しくなったものだが、小松原さまがなんと森山未来でがっくり。
それはちがうだろ…。
しかし、たぶん、視聴者にそっちの組み合わせに期待を持たせないためにあえての配役なのかもしれないという気がしてきた。
だって、源斎先生(だっけ?)は永山絢人だし。
あからさまだろ。

| | コメント (0)

植松三十里「雪つもりし朝」

前から二二六事件に興味があって、いろいろ関連本を読んだりしているんだが、どうしてもかゆいところに手が届かないというか、その前後の状況ばっかりクローズアップされていて、暗殺されてしまった人たちの周辺の話を知ることができないというのが不満だった。
しかし、この本はまさに二二六事件の当事者たちを主人公とした連作集。

義弟が身代わりとなって生き残った岡田首相、妻がとどめを刺すのを制止したために生き延びた鈴木侍従長、湯河原で襲われて九死に一生をえた牧野伸顕…。
いずれも日本のためを思い、日本のために尽くしてきたにも関わらず、逆賊として陸軍の士官たちに襲われてしまう。
もちろん、陸軍士官たちにも彼らなりの正義があったわけだが。
この作者の視点はあくまでも「クーデターは何も生み出さない」という立場なので、被害者たちに同情的なのはわかる。
ただ、史実にも関わらず同情的すぎる傾向があるのがちょっと気になった。
本人の気持ちは本人にしかわからないわけだから。

最後は、みなが命をかけて守った平和を、今の政府がまた覆そうとしていることに警鐘を鳴らしていて、それは完全に同意できた。

| | コメント (0)

« 2017年4月 | トップページ | 2017年6月 »