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植松三十里「雪つもりし朝」

前から二二六事件に興味があって、いろいろ関連本を読んだりしているんだが、どうしてもかゆいところに手が届かないというか、その前後の状況ばっかりクローズアップされていて、暗殺されてしまった人たちの周辺の話を知ることができないというのが不満だった。
しかし、この本はまさに二二六事件の当事者たちを主人公とした連作集。

義弟が身代わりとなって生き残った岡田首相、妻がとどめを刺すのを制止したために生き延びた鈴木侍従長、湯河原で襲われて九死に一生をえた牧野伸顕…。
いずれも日本のためを思い、日本のために尽くしてきたにも関わらず、逆賊として陸軍の士官たちに襲われてしまう。
もちろん、陸軍士官たちにも彼らなりの正義があったわけだが。
この作者の視点はあくまでも「クーデターは何も生み出さない」という立場なので、被害者たちに同情的なのはわかる。
ただ、史実にも関わらず同情的すぎる傾向があるのがちょっと気になった。
本人の気持ちは本人にしかわからないわけだから。

最後は、みなが命をかけて守った平和を、今の政府がまた覆そうとしていることに警鐘を鳴らしていて、それは完全に同意できた。

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