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近藤史恵「シャルロットの憂鬱」

ジャーマンシェパードのシャルロットを中心とした、なんということもないミステリ短編集。
一応謎解き要素はあるのだが、それほどミステリっぽさはない。

不妊治療がうまくいかず、犬を飼うことにした真澄と浩輔の夫婦。
二人のもとにやってきたのは、警察犬をリタイアしたメスのジャーマンシェパードだった。
幸せな毎日を送っていたのだが、ある日家に空き巣が入るという事件が起こる。
いつもなら、不審者を見ると吠えるはずのシャルロットが、ベッドの下に隠れていたので、二人は不審に思い…。

こういう犬モノって、最後死ぬからイヤなんだよなあ。
「チェット」シリーズも、最初は死ぬところまでという話だったが、たぶん作者も殺すに殺せなくなったのか、なんとなくウヤムヤになっている。
これも、続編が出たら読みたいけど、死ぬのなら読みたくないわ。

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加納朋子「我ら荒野の七重奏」

いやー面白かった。
「七人の敵がいる」の続編にあたるのだが、吹奏楽あるあるにあふれていて、元吹奏楽部員としては笑うしかない。

息子の陽介が公立中学校の吹奏楽部に入部。
母親の陽子は、吹奏楽部員の親としてやるべきことがあまりにもたくさんあることに驚愕する。
定期演奏会の会場を取るために、二日前から交代で並ばなければならず、他にも生徒たちの引率やら何やら、陽子には理解しがたいことばかり。
だが、部活動に熱中する息子のために、できる限り協力したいと思うのだが…。

吹奏楽コンクールは、テレビ番組とかでも取り上げられてメジャーになっているので、これが出てくるのはわかるのだが、すごいのはアンサンブルコンテスト(アンコン)がかなりクローズアップされていること。
確かに、団体としてはパッとしない学校で、唯一全国大会に行けるチャンスがあるのはアンコンだからなあ。
でももちろん、アンコンにも選抜があって、上手い組といまいち組ができたりするあたりなんかもリアル。

あと、途中で顧問が交代になって、部活の指導方針が変わるというのも、心当たりがありすぎる…。
近所から騒音で苦情がきて、窓を閉め切って練習して、熱中症で倒れたりとか。

演奏会はうちの学校のときは体育館だったので、会場取りの経験はないが、準備がほとんど親がかりというのはそのまんま。
よく考えると、親がいないと部活動が成り立たないって、すごいよな…。
親には感謝せねば。

陽介が担当している楽器がファゴットだったので、ダブルリードあるあるもあって面白かった。
そうそう、リードを買いに行くには、得体のしれない雑居ビルの中のJDR(日本ダブルリード協会)つーところに行かないといけなかった。
そして、帰りにこっそり駅ビルでソフトクリームを食べるのが、ダブルリードパートの伝統だったのだよな。
懐かしい。

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ジェーン・スー「女の甲冑、着たり脱いだり、毎日が戦なり」

ジェーン・スーはラジオの方は大好きなんだけれども、エッセイはいまいちな気がする。
面白いことは面白いんだけど、ジェーン・スーもどちらかというと経験豊富というか、わりとおしゃれとかそういったことへのアンテナがしっかり張られているタイプなので、まったくそういうアンテナのない人間には共感しづらい部分もあり。
「相談は踊る」が一番面白かったかなあ。

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アンデシュ・ルースルンド「熊と踊れ」

「虎狼」と同じく、こちらも悲惨な結末しか想像できなかったので、よっぽど途中で読むのをやめようかと思ったのだが、なんとか最後まで読破した。
なんで悲惨な結末と思ったかというと、これが実話をもとにしているから。
主人公たちに感情移入しても、実話ということは事件として報道されたということなので、どう転んでもハッピーエンドはあり得ないのだった。

父親のDVを目の当りにしたというトラウマを持つ三兄弟。
強さが何よりも重要だと考える父親を嫌悪しながらも、同じ道をたどってゆく長男のレオ、母がDVを受けるきっかけをつくったのが自分ではないかと悩み続ける次男のフェリックス、そしてただ兄たちに認められたい一心でついていく三男のヴィンセント。そして三兄弟と行動を共にする幼馴染のヤスペル。
彼らは、偶然発見した軍隊の武器を手に入れることに成功し、それを使って大胆な銀行強盗計画を立てる。
最初はうまくいくのだが、次第に兄弟の間に亀裂が入り…。

実話では、三兄弟ではなく四兄弟で、強盗に加わらなかった末っ子が執筆協力をして書き上げたらしい。
特に長男レオの心情が真に迫っていたので、逆にこれが小説ではなくてノンフィクションとして書かれたらここまで完成度は高くなかったんじゃないかという気がする。
こちらも想像していたほどサイアクな終わり方ではなかったけれど、救いがないという意味ではあまり変わりない。
疲れているときには読めないわ。

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