マーク・グリーニー「暗殺者の飛躍」

ああ~恐れていたことが…。

いや、面白かったんだよ?面白かったんだけど…。

CIAからの極秘の指令を受けて香港へと向かったジェントリー。
そこで待ち受けていたのは、ロシアの女スパイで…。

ということで、女が登場ですよ…。
まあ、あのCIAの野心丸出しの女じゃなくて、もっとストイックな女スパイだったのが救いといえば救いだけど。
やっぱりジェントリーは孤独なのがいいんだよ!
一人で孤独に戦っているときが一番かっこいい!
誰にも正体がばれずに、時にかっこ悪く生き抜くところがかっこよかったのに!
あーあー。
アメリカではさらに続編が出ているので、楽しみなような、怖いような。

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松岡圭祐「黄砂の籠城」

歴史上、実際にあった義和団事件を当事者の視線から描いた歴史小説。
しかし…。
う~ん…どうにもこうにも、「日本すごい!」「日本人さすが!」みたいな匂いがしていて、ちょっと読んでいてつらかった。
もうちょっと客観的に書けなかったのかなー…と思ったら、そのあと義和団の当事者目線の続編が出ていたらしい。
そちらも合わせて読んだら見る目が変わるかも。

両方を合本した文庫が出ているらしいので、また興味が出てきたら読もう。

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原寮「それまでの明日」

14年ぶりの新作ということで、めちゃくちゃ楽しみにしていたのだが。
う~ん…。

沢崎のもとに、とある紳士が依頼に来る。
依頼の内容は、ある料亭の女将のことを調べて欲しいというものだった。
ところが、その依頼に取り掛かろうとしている沢崎は、銀行強盗に遭遇してしまう。
その事件の場所となったのは、依頼人が支配人を務めている金融機関だったのだが…。

銀行強盗の下りは面白かった。
ちょっと伊坂幸太郎っぽくて。
でもその後がなあ。
沢崎につきまとう青年がいろいろ邪魔で、なんだか事件がボンヤリしてしまった感じ。
最後まで読むと「そういうことかあ」と納得はするのだが。
もうちょっと事件そのものが盛り上がってもよかったような。
あんまり沢崎が活躍する場面がなくて、単なる謎解きで終わってしまったのが残念。
まあみんなも年をとるしな。

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伊坂幸太郎「AX」

あ~、いかにも伊坂幸太郎らしい伊坂幸太郎作品。

登場人物も、「兜」というあだ名をもつ暗殺者だし。
「マリアビートル」とか、あの系統の話だね。
ただ、最後の展開が急すぎてかなりびっくり。
最初、何が起こったのかわからなくて、何度も読み返してしまった。
決してハッピーエンドじゃないんだけど、それでもハッピーエンドにしてしまう、それがいかにも伊坂幸太郎らしい。
楽しめた。

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アンディ・ウィアー「アルテミス」

「火星の人」(映画タイトルはオデッセイ)が抜群に面白かったので、同じ作家ということで読んでみた。
シチュエーション的には、火星の人にちょっと近いかも。

月が人類の住む場所として定着している未来、月で生まれ育った運び屋のジャズは、ある大富豪に依頼を受ける。
ところが、その大富豪が何者かに殺されてしまい、ジャズも命を狙われることに…。

このジャズの一人称で話が進むというところは、「火星の人」と同じ。
だが、ちょっと軽すぎるんだよ、いろいろ。

救いのない火星に一人ぼっちだった前作と比べて、お金に目がくらんで危機に陥ったジャズは自業自得というか。
頭は天才的にいいのに、それを全く有効活用していないので、それもなんだかなあ。
作者はこの月世界が気に入っているらしいので、もしかしたら続編があるかもしれないが、同じ主人公なら多分読まないな。

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ピエール・ルメートル「天国でまた会おう」

「その女アレックス」という傑作を書いた作家の昔の作品。
第二次大戦中に、上官のある秘密を目撃してしまったせいで、生き埋めにされた兵士。
彼は生き残り、自分を救ってくれた男と再会して、いっしょに住むようになる。
だが、上官のある陰謀を知り、それを逆手に取って復讐しようとするのだが…。

これも救いのない話だな。
「アレックス」も大概救いのない話だったけど。
それでも、「アレックス」はストーリーとしての大どんでん返しがあったから、小説としての面白さがあったのだが。
今回は主人公二人の行動がいまいちかみ合わないので、それも見ていて歯がゆくてなあ。
でもそういったところも生々しくて、うまい作家だとは思う。

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町田康「スピンクの笑顔」

虐待されていたスタンダードプードルのスピンク、キューティーとトイプードルのシード。
飼い主のポチといっしょに、ささやかながらも幸せな毎日を送っているんだよ、というスピンクの一人称で語られるシリーズ。
ところが…。

あー犬も猫も短命なんだよな。
しかも、体調が悪いとか声に出さないから、あっという間に死んじゃったりする。
そしてスピンクも…。
これでこのシリーズも終わりかと思うとさびしい。
それともキューティーが語り手になって続いたりするんだろうか?
でも、作者とスピンクにはあうんの呼吸というか、他にかえがたい絆があったみたいだから…。
あーペットが死ぬ話はつらい。

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土橋章宏「駄犬道中おかげまいり」

博打で負けた借金から逃れるために江戸を飛び出した辰五郎。
途中で出会った駄犬が伊勢神社へ代参すると知り、それにくっついていくことに。
さらに、奉公先を逃げ出して親を探す三吉、子供が産めないせいで離縁されたことをはかなんで自殺しようとしていた沙夜が加わり、奇妙な一行は伊勢を目指すのだが…。

辰五郎は博徒で、ガマの油売りなんかで金儲けするどうしようもない男なのだが、人情にあついところがあり憎めない。
代参犬の翁丸もいい味出している。
所々で役に立ったり立たなかったりで、駄犬としての役割をうまく演じている。

続編ではこんぴら参りに行くらしい。
この一行が今後どうなるのか気になるな。

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井上章一「京都ぎらい」

ん~思っていたのとちょっと違った。
京都生まれだが、洛外に生まれたために「京都生まれ」と素直に言えない著者が、ほかの地域の人間にはわからない、微妙な京都を赤裸々に綴る。

というような話かなと思っていたんだが、そういうのは最初の部分のみで、あとはふつうに京都の歴史とか風俗とかの話だった。
もっと京都のイヤなところを羅列してほしかったわ。

でもさ、この地元民にしかわからないヒエラルキーってあるよな。
東京だって、中央区とか新宿区とかはすごいけど、足立区っていったらかなり微妙だから。
よく足立区は下町って言われるけど、厳密には下町ですらないからな。
川を越えたら江戸じゃない…。

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栗原康「村に火をつけ、白痴になれ」

意外な発見だが、「白痴」って一発変換できないようになっているんだな。
やっぱり差別語だからか…。

この本は、関東大震災後に大杉栄とともに殺された伊藤野枝の伝記。
なんというか、文体が軽い。軽すぎる!
そこが伊藤野枝の自由さ加減とあいまって面白いんだが。

それにしても、この時代にあって伊藤野枝の生き様はすさまじい。
とにかく自分の欲求のままに生きている。
好きじゃない相手と結婚したら逃げ出すし、好きになったら相手に恋人がいようが奪い取るし。
だが、伊藤野枝のいいところは、自分だけではなく他人の欲求も認めるというところ。
要するに、みんながみんな自由にやって、自由になることをゆるしあえば、だれも苦しんだりすることはない、ということ。
まあ最低限の秩序は必要だと思うが、言っていることは決して間違っていない。
でも結局、それが危険思想として目をつけられて、甘粕に虐殺さrてしまう。

私はずっと誤解していたんだけど、大杉栄と伊藤野枝は拷問を受けて殺されたのだと思ってた。
でも、甘粕の証言によると、不意をついて甘粕に首を絞められて死んだらしい。
あー生々しすぎる…。
というか、悪人は甘粕の方じゃんね。どう見ても。
でも本人は正義のためと思っているんだろうなあ。
これが「正義」の恐ろしいところだよ。

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